interview
本音をさらけ出すリアリストの
ルーツをたどる
現在Webフロントエンドエンジニアとして活躍しながら、スケーターとしても活動するFURUSAWA氏。その音楽との出会い、生い立ち、人生の転機などあらゆる方面から深堀りをはかった。
今後のWHRMでの執筆活動や、果ては将来の夢まで大いに語ってもらった。
Section.01
音楽との出会い
—まずは音楽との出会いを教えてもらえますか。
FURUSAWAうちの親父が60年代、70年代のロックが好きで、家にそれこそビートルズやボブ・ディランなど、めちゃくちゃたくさんのレコードやCDがあったんです。
その頃は、特に好んで聞くというわけでもなかったんですが、ロックに囲まれていたということもあり、ただ音として聞いていた感じですね。音楽との出会いという意味ではビートルズになるんですかね。
それから中学・高校ぐらいの頃は、まわりではオレンジレンジやnobodyknows+といったアーティストが流行っていて、なぜかそういう流行りに乗っかるのが嫌であえて聞かなかったんです。
曲自体は全然いいんですけど、今思えば単なる天の邪鬼でした。
—誰にでもありますよね。流行りの曲を敢えて聞かないタイミング。
はい。
でもその頃、たまたま聞いたRIPSLYMEにはドハマリしたんです。
—RIPSLYMEもめちゃくちゃ流行っていましたよね。
そうなんです。最初は売れていた「楽園ベイベー」あたりを聞いたんですけど、アルバムも聞いてみると有名じゃない他の曲も良くて一気にはまっていったんです。そのあたりからHIP HOPを深堀りするようになりました。
まさにディグっていった感じです。
—なるほど。そうやってHIP HOPにはまっていったんですね。
FURUSAWAそこからはK DUB SHINEなどをよく聞いていました。さらに日本のHIP HOPを辿っていくと、どんどんとUSの方にも広がっていき、Black Eyed Peasなんかも聞くようになりました。
ちょうど、iPodが発売された頃で、TSUTAYAでHIP HOP関連のアルバムを借りてきては、iPodに入れるということをしていましたね。たくさん曲が入っているのがうれしいみたいな..
—iPodに1万曲入れるとかやっていましたね。
特に2000年代初期のHIP HOPに一番はまりました。
最近活動を再開されたSCARSなんかもよく聞きましたね。メンバーのBESのラップは超やばいです。
—では、最近で気になるアーティストはいますか。
やっぱり「舐達麻」ですね。彼らはまさにリアルを体現していて、めちゃくちゃかっこいいです。ちょうど僕のWHRMの一発目の投稿としても書かせてもらいました。
やっぱり彼らが作る歌っていうのは、嘘偽りない本音なんですよね。誰もあえて言わないようなこともさらけ出してくれるというか。
もちろんあまり真似しない方がいいようなネタもありますが、いいことも悪いこともはっきりと伝えてくれるんですよね。そのスタイルというかマインドに共感することが多いです。
—HIP HOP以外は聞かないんですか?
そんなことはないですよ。今は有名だからとか、流行っているからという意味のない理由で曲を避けるということはないです。宇多田ヒカルがやばいと言われれば、聞きますし共感もします。
それこそこのサイトで、ライターのみんなが紹介している曲を聞いて単純にいいなあと思ったりもします。ありがたいですね。
—今までの人生で音楽に救われたみたいな経験ってありますか。
FURUSAWA残念ながらそういう経験はないですね。窮地に立たされていない人生です。
そういえば、親から聞いた話なんですけどまだ小さい頃に車の事故に巻き込まれて、後部座席からフロントガラスまで吹っ飛んだことがあったみたいです。音楽とは一切関係ないですが...
—それはめちゃくちゃ危ないじゃないですか!
Section.02
仕事、趣味、プライベート、人生の転機
—では、音楽以外の話も聞かせてください。今はどんな仕事をされているんですか。
FURUSAWA今はweb制作会社でフロントエンドエンジニアをしています。企業のウェブサイトの更新なんかをメインで担当しています。
—昔からwebをやってきたんですか?
いえ、大学を卒業してすぐは、運輸関係の仕事に就きました。運送系なら固くて安定しているだろうという軽い理由で就職しました。仕事自体は別に嫌いではなかったんですが、先輩や上司を見ていると自分の思い描く出世街道とは少し違ったんですよね。
webとは違い、現場仕事なんで大声で怒鳴ったりもしょっちゅうですし、休みの日はゴルフしてっていう。
—ああなるほど、それはweb会社ではあんまり見られないかもですね。
FURUSAWAそうなんです。だから将来のことを考えるようになってくると、だんだん違うなと思いだして。それで退職して、プログラミング学校に通ったんです。
—元々プログラミングに興味があったんですか?
いえ、それもこれからの時代はプログラミングが必要だろうという安易な理由です。そこで学んでweb系の会社に転職しました。
でもバックエンドは苦手なので、フロントエンドの道に進みましたね。まだまだ未熟なんでこれからも勉強し続けないといけないですが..。
—趣味はなんですか。
FURUSAWAスケボーとチェスですね。
スケボーは、高校生ぐらいの頃からやっているんですが、HIP HOP好きの繋がりから自然とのめり込んでいった感じですね。
—チェスはなぜやろうと思ったんですか?
これもスケボーの影響なんですが、大好きなカナダのプロスケーターがいて、その人がチェス好きだったんですよ。それを真似てやり始めたんです。その人にはカナダまで実際に会いに行きましたね。
—カナダまで行ったんですね!
FURUSAWAスケーターっていうのは、単にスケボーがうまい、大会で優勝したっていうのがステータスなんじゃなくて、もうその人のファッション、ライフスタイル、マインドすべてが重要なんですよね。
—なるほど、プロスケーターっていうからには戦績が重要なのかと思っていました。
戦績っていうよりは、もうその人自身という感じですね。スケーター自身がブランドになることがプロの条件みたいなもので。できれば僕のブランドも出して欲しいです。
—これまでの人生で何に一番心を動かされましたか?
FURUSAWAそれは、やっぱり妻の出産の立ち会いですね。涙が止まらなかったです。
うちの場合は、病院に行って1時間ぐらいの安産だったんですが、その1時間がこれまでに経験したことのない濃い時間でした。当然、妻も看護師さんもみな命を掛けるほど真剣で、その空間にゾクゾクさせられました。
ただ、最後に登場した偉いお医者さんだけが飄々としていて、顔色ひとつ変えずハサミでジョキンと...。拍子抜けでしたね(苦笑)
Section.03
WHRMの執筆活動について
—では、WHRMについてお聞きします。このサイトにライターとして参加してみてどう思いますか?
FURUSAWA一番痛感したのは、継続の難しさです。Weeklyの名にある、1週間は本当にあっと言う間です。
—確かに気づいたら次の週がやってきますよね。
はい。でもみんなに聴いて欲しい、自分が気に入った曲について書けるのはうれしい限りですね。これからも関わり続けていきたいと思っています。
—音楽を文字で表現することについてどう思いますか?
FURUSAWA便利で難しい印象です。そもそも感じたことを言語化すること自体がすごく難しく感じるので、四苦八苦しながら書いてます。どうしても伝えたい部分が伝わったらいいかなと思います。
自分が好きな曲を他の誰かがコメントしているのを見て、よりその曲を好きになった経験ってありますよね?僕が書くレビューを見て、誰かがその影響を受けて曲を好きになってくれたらこんなにうれしいことはないですね。
FURUSAWAでも少し恥じらいもあるんですよね。
—恥じらいというと?
HIP HOP、特にUSのゴリゴリの曲になってくると歌っている内容が主に「女・金・ドラッグ」になってくるんですよね。それについて赤裸々に綴るのもちょっと...。
でもこの年齢になってくるとまわりの人間と音楽について深く話す機会もほとんどなくなるので、こういった形でアウトプットできるのはうれしいですね。
—確かに、学生時代なんかはもっとあの曲がやばい、この曲がやばいと会話したもんですよね。
Section.04
将来の夢
—では最後にお聞きします。将来の夢はありますか。
FURUSAWA将来の夢ですか。残りの人生の時間で何か創作するのが夢ですね。今のところ絵か小説か曲が候補です。
特に小説については過去にも書こうと思ったことがあるんです。(思っただけです。)
—小説は、何歳になっても書けますもんね。
そうなんです。あのカーネル・サンダースがフライドチキンを出したときは65歳の時らしいですからね。諦めず続けていきたいですね。
—やなせたかしがアンパンマンを生み出したのも60歳になってからと聞きますし。
すぐに結果を出す人もすごいですし、信じてやり続けて花開く人もどちらもすごいですよね。何にしてもそのマインドに尊敬します。
そしてこのWHRMで執筆し続けることが、何かのきっかけになればいいなと思いますね。音楽以外にも、小説のサイト「Weekly Home Room of Books」なんかがあったらぜひやってみたいです。
—それはいいですね!立ち上げ検討してみます!本日はありがとうございました。
Profile
FURUSAWA
Webフロントエンドエンジニア
新進気鋭のスケーター。怖いもの知らずで世間を渡り歩く。するどい観察眼から放たれる言葉の数々には目を見張る物がある。
「ありのままを体現」
をモットーに、これからもスケーターとして、そして様々な分野での活躍が期待される。