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20200511
Never Grow Up - ちゃんみな
2016年の第9回高校生ラップ選手権でちゃんみなの声を聴いたときの衝撃といったらなかった。
わざと低いダミ声で繰り出すラップの安定感、一転「歌だって歌えんだ私は」と言って突如歌い出した声の流れるような響き。あぁこの子は逸材だ、みんなにそう思わせた。明らかに誰よりも光っていた。
それから順調に活躍を重ね3年ちょっと経った頃にリリースされたこの曲。
ラップよりも歌に比重を置いており、サビは高音が続くが、ちゃんみなの声は以前に増して心地よい。
「Never Grow Up」、歌詞全体を鑑みた上で訳すと「私たちは大人になんかならない」といったところだろうか。上手く愛し合えず互いを傷付けながら別れに向かっていく若い頃の不安定な恋人関係が描かれている。最後の「月が綺麗だね」は言わずもがな、夏目漱石の「愛している」の翻訳(諸説あるが)から来ているのだろう。この曲の最後としてはダメ押しの一言である。
今この曲を聴く高校生や大学生はきっと共感して泣いてしまったりするんだろう。
そしてその時が過ぎた所謂「大人」である私たちは、懐かしい人を思い出して少しだけ切なくなったりする。
これからどんどん成長していくちゃんみなが楽しみになる一方で、この曲名の通り大人にならず今のままでいてほしい、そんな風に思ってしまう曲である。
COMMENT
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- yoko
ラップ、そして日本語と英語のつなぎ合わせが高度にミックスされ到達した芸術作品。
作り手がこれまでの人生で吸収してきたものによって「今まさに目の前にある別れ」を見事にアウトプットしている。きのこ帝国の「金木犀の夜」なんかは、時系列的には別れの後の心情だろうが、その表現を比較してみるのもおもしろい。
時代に合わせ常に変化するものが勝ち続けると言われて久しいが、変わり続けないことも肯定したい。Never Grow Upな、変わらない何かを磨いて大人になるなんて生き方を。「月が綺麗だね」と言い残し、それをずっと残したままで。