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20200524
ハンキーパンキー - ハナレグミ
人を前向きにするのは、とても難しい。
押し付けがましくなったり、意図と裏腹に相手を否定してしまうことも少なくない。
音楽もそう、落ち込んでいるときに大きな声で元気出せよと歌われても逆にしんどくなってしまう。
うるさいなぁ、ほっといてくれよ、と言いたくなる。
でもこの曲は、前向きな言葉が並ぶのに、落ち込んでいる時でも聴けてしまう。
前奏のギターの静かさ、ハナレグミの澄んだ声、ゆっくりしたリズム。
否定も肯定もしない、その心地よさ。
「ハンキーパンキー」という言葉は、英語で「いんちき、ごまかし」といった意味らしい。
「遊び心」という意味もあるとネットには書いてあったけれど、本当かどうかは分からない。
歌詞は「僕」から「君」、そして見知らぬ人も含めた「僕ら」へと広がっていく。
僕のための、君のための、そして僕らのための、「日々のあわ」。
アルバムのタイトルでもあるこの「日々のあわ」という言葉の意味は定かではないが、
毎日はあわのようなものなのかもしれない。
生まれては消えて、生まれては消えていく。静かに、そして一瞬で。
だから消えていった過去にしがみつくのではなく、
「来るべき日々」を楽しんで、そしてまた忘れて、そうして前に進んでいけばいい。
ひとりごとのような曲だけれど、これはきっと応援歌だ。
もしかしたら、世界で一番、静かな応援歌なのかもしれない。
COMMENT
彼は誰に向かってうたってるんでしょう
祈りみたいなことを生活のことばにのせてくれる
ひびくねええ。- mikko
「あわ」は、毎日生まれ変わる細胞の隠喩でもあるのかなぁと、ちょっと思いました。
- いのうえ
ハナレグミは「あわ」という表現がもっとも似合うアーティストなのかもしれない。「答えはひとつだけじゃないんだよ」の独り言のようなつぶやきは、今まさに刺さる。
前を向けず後ろを向いている時、横を向いてみて、ほんの少しのユーモアをもって「ハンキーパンキー」とつぶやきながら...そんなメッセージが聞こえてくる。
- マスター
- 皆さんからのコメントお待ちしております。お気軽に投稿してください。
- yoko
Cocooning(コクーニング)、という言葉がある。自分や相手を回復したいときに、何かにくるまったり丸まったりして身体を休ませる、という意味。曲中の「ハンキーパンキー」という言葉も、さなぎのように外の音をさえぎり、自分を回復させたいときのおまじないのように感じる。