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20200601
ただ君に晴れ - ヨルシカ
「青春」という言葉は、なぜ「春」という字が使われているんだろう。「夏」の方が空は青いし、若い頃の眩しい思い出にぴったりなのに。
私はずっと思っていた。そんな私の考えを確信に変えたのがこの曲だった。
ヨルシカが2018年にリリースした「ただ君に晴れ」。
詩的な言葉が並ぶ歌詞、イントロの動き回るメロディギター、ボーカルsuisのどこか幼さの残る歌声。
忘れない記憶の中の夏の情景、離れていった君との関係性。
歌われているのは「君」と過ごした青春だ。
『この夏も、やがてあの夏になる』
これは昔、某コーヒー飲料メーカーの広告で使われたキャッチコピーだ。
私はこのコピーをはじめて見たとき、ブワっと夏の風が吹いたような感覚になった。
少年・少女時代の夏の思い出は色濃い。
私たちは過ぎ去った「あの夏」を何度も何度も、鮮やかに思いだすことになるのだ。
「ただ君に晴れ」を聴いていると、同じような感覚になる。
2番の歌詞の中には、正岡子規の俳句「絶えず人いこふ夏野の石一つ」をオマージュした言葉が出てくる。
演奏が静かになるとともに古典的な言葉が並ぶのでとても印象に残るフレーズだ。
解釈は人ぞれぞれだが、「君」と過ごした夏が忘れられない「僕」は、何を見ても何を聞いても思い出してしまうのだろう。
青春というものは、真っ只中にいるときは苦しく切ないことの方が多い。
なのに過ぎ去ればその思い出は真っ青な夏の空のように眩しい。
この曲を聴いていると、夏こそ青春にふさわしいのではないか、
いっそ「青夏」という言葉を作ってしまいたい、そんな風に思う。
COMMENT
季語的なワードが散りばめられ、住む世界は違えど情景が浮かんでしまう不思議。もはや日本人の遺伝子にまで刻まれているかのように。ビジュアルレスにすることで作品そのものの世界が際立つ。
象徴的に出てくる「だけ」の2文字は強がりか、未来への意志か..
- マスター
- 皆さんからのコメントお待ちしております。お気軽に投稿してください。
- yoko
キュンキュンしました。100%苦しく楽しい青春時代の記憶が蘇る。青夏やね、たしかに。
「だけ」の使い方w
映像もキレイで引き込まれました♪