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20260330
30 - ASOBOiSM feat. magora
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20代がピークで、その先の三十路以降は緩やかな下り坂、そんな世間の風潮に抗えないまま、ただその傾斜を意識してしまう。自己肯定感の低さや、明日がどうなるかわからない不安を抱えることは、30代に差し掛かるこの世代に共通する傾向らしい。
同い年には大谷翔平に羽生結弦。
届かない場所にいる存在と並べてしまえば、自分の現在地だけがやけに鮮明になる。
何者かになりたいと、数字や他人との比較で自分を引き上げようとしても、そこに到達できるはずもなく、不安や焦りは消えない。
もし、この曲に続きのメッセージがあるとするならば...
「大切なものはほしいものより先にきた」
これは、人気漫画『HUNTER×HUNTER』の中でも屈指の名シーンに登場するセリフである。
主人公のゴン=フリークスは、幼い頃に生き別れた父と再会するため、数々の困難を乗り越え、その願いをついに叶える。そのとき、父であるジン=フリークスが彼に語った言葉が、これだ。
ハンターであるジンは、自らが求めるお宝を探し続けていた。仲間たちとともに発掘調査を重ね、長い時間をかけて、ついに目的の品へとたどり着く。
その瞬間、彼は仲間たちと喜びを分かち合う。そしてそのセリフに気づく。
本当に欲しかったものは、探し求めていたものよりも前に手に入れていたのだと。ともに旅を続けてきた仲間と、喜びを共有するその時間こそが、何より大切だったのだと。
そう考えれば、お宝はただのおまけにすぎない。
振り返れば、何かを成し遂げようとがむしゃらに進んできた時間の中で、すでに手にしていたものがきっとある。
「大切なものはほしいものより先にきた」
わかっているのに。
わかっているのに。
それでも、揺れてしまう。
どれだけ整った言葉で励まされるよりも、どこかに同じように揺れている感情が存在していると知ることのほうが、ほんの少しだけ、心を軽くする。
心に突き刺さる本当のメッセージにはあえて触れず、救いきることもしない。答えの出ないまま続いていく、自分との対話で止められた余韻こそが、この曲の核心なのだと思う。









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