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20230911
アパルトの中の恋人達 - ハヌマーン
その昔「男女問題はいつも面倒だ」なんてサブタイトルがつけられた曲があったが、言い得て妙だと思う。
『アパルトの中の恋人達』
ハヌマーンというバンドが、文字通りアパートで同棲する男女のすれ違う心情を歌った楽曲で、叙情的な詞が絶賛されている名曲だ。
古くは太田裕美の『木綿のハンカチーフ』、RADWIMPSの『遠恋』、最近で言えばWurtsの『わかってないよ』...などにも見られる、男性目線と女性目線の両面から構成する詞が、切なくて胸を打つ。
この歌の中だけに存在する二人の男女が抱える悩みは、あるアパートのある男女に起こっている創作されたひとつのありふれたラブストーリー。
具体的な描写で綴られてはいるけど、あくまでも想像上のカップル。なのに、こんなにも瑞々しく二人の姿を浮かび上がらせるのは、ひとえにこの美しい歌詞によるものだ。
そして皆、自然とその内容について種明かしをしたくなってしまう。
ここであえて解説する必要なんてなく、一度聞いてみるだけでも十二分に伝わると思う。
アパートの中の恋人達の現実は、繊細で、ギリギリのバランスの上に成り立っている。でも前述した通り、他人であるところの男女の関係性は、当事者にしかわからず、外からは本当の意味では知ることはできない。
ジェンダーレスの時代と言われて久しい現代でも、男女問題にまつわるニュースは一向に途切れない。
世間一般、外野から見る分には、どちらか一方を悪者にしがちだが、きっと現実はぐちゃぐちゃに絡まった糸のように複雑で、簡単に白黒つけれるものではないのだと思う。
何かを簡単に断罪し、社会を分断してしまう最近の世の中の風潮にあって、想像力を大いに刺激するこの歌の持つ意味は大きいのではないだろうか。
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