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20210306
夏の色を探しに - AIR
後続のアーティスト達に慕われ、そして変化を続けるAIRのアコースティックナンバー。Steady&CO.のあの大ヒットナンバー「春夏秋冬」にもサンプリングされているのは有名な話である。
歌詞全体を通して、この歌の主題が何かを明言されたものはない。なのに、妙に感情移入してしまうのはなぜだろう。
そこには「ぼかし」を効かせた秀逸な表現が影響しているように思う。
寄せてはかえす波、蜃気楼、何も言い当てない天気予報、黄昏時...どれもが果無く、はっきりしない印象を抱かせるものばかり。それが転じて想像力を大いに掻き立てる。ぼやけた視界の先から聴覚や嗅覚を刺激するような世界に誘い込み、いろんな感覚をもって曲を楽しませてくれる。
AIR初期のラウドサウンドやパンクテイストから、いろんなものが削ぎ落とされていく様は、まるで「わびさび」の境地へと進んでいるかのよう。そんな気分にさせてくれる一曲である。
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