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20210924
ラブ・ソング - PEOPLE1
メンバー構成やルックスなど多くが正体不明のバンド「PEOPLE1」のミディアムナンバー。巧みな言葉選びの歌詞が、3分24秒という曲の中で展開され、ゆっくりと身を任せて聞いていたくなる。
特別新しいわけでも、際立ったメッセージがあるわけでもないのに、こうも惹き付けられてしまう魅力はなんなんだろうか。リズム、メロディ、ハーモニーとはよく言ったものだが、曲の構成にこそその秘密が隠されているように思う。
場面は高速道路を走る車の中からはじまる。これまでにも数多くの曲によって描かれてきたシーンだ。
「僕ら惨めなハイウェイスター」
なぜ惨めなのかの言及はない。僕らとあるので、恋人同士と推測するのが無難であろう。
そしてここから先に展開される歌詞は、想像の世界へとぐっと進んでいく。マンガで言えば、コマ割りの外枠が、黒く塗りつぶされたページのようなイメージ。
時間を止めるから、胸のリズムだけ聞いて欲しい。
時間を止めるから、いつかの話し終えられなかった続きを存分に聞いて欲しい。
五感で言うならば聴覚に訴えかけるような描写が続く。...と、ここまでの想像の世界から「みんなに内緒の言葉を君に贈るから」に続くラストのサビへと展開される。最も伝えたいメッセージはここに集約されている。
起承転結とでもいうべきなのか、自然と心に訴えかけてくる曲というものは、時間の配分や歌詞の構成が絶妙なんだと改めて思い知らされる。
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