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20210331
ケツメの作り方 - ケツメイシ
今やその名を知らぬ人はいないぐらい大成功を収めたHIP HOPグループ・ケツメイシの初期の一曲。ここにはそのグループの結成秘話が歌われている。
元スーパーカー「いしわたり淳治氏のコラム」でも似た言及があるが、歌詞に広く共感を得ようと思うと、聞き手を限定しすぎないよう、なるべく特定の人物描写は避けた方がよい。当事者にしかわからない内輪ネタでは、多くの共感を得るのは難しい。
しかし、「ケツメの作り方」と題されたこの曲には、超がつくほど具体的な歌詞が展開される。
RYO氏が仲間と作ったグループに、後輩だった大蔵氏がやっとの思いで加入を許され、そして対バンとして遭遇し打ちのめされたRYOJI氏とDJ KOHNOが加入するというストーリー。その一連の中に、いくつもの出来事やメンバーそれぞれの思いが詰まっている。
思えばHIP HOPというジャンルでは、各ラッパーの生い立ち、生き様、リアルがそのまま歌われることが多い。それを彼らのオリジナリティによって歌い上げた歌が「ケツメの作り方」なんだろう。
注目すべきは、曲の一番最後RYOJI氏のパート。対バンでライバルだった彼らを引き入れたRYO氏は一言「今日からボーカルだから」とRYOJI氏に言い放つ。そのRYOJI氏が歌う「こっちおいで〜」でこの曲は締めくくられる。
今や超メジャーアーティストになったケツメイシにとって最強の武器は、なんといってもRYOJI氏のボーカルのメロディセンス。それが生み出された瞬間がしっかりこの歌に刻まれている。
本当に共感をよぶものというのは、オリジナリティにあふれ超個人的なその人達にしかないヒストリーとストーリーなのかもしれない。第一線を走り続けふと立ち止まったときに、振り返る事ができるアイデンティのようなものがあることがうらやましくさえ思う。
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