仕事をしていて、クライアントやプロジェクトチーム内でメールしているとき、
完全に話題が切り替わっているのに、
新規のメールじゃなくて、返信の形式でメールを送る人、僕はあまり好きじゃない。

僕なら、話題が切替わるんなら、それ用の件名にして新規メールを送る手段を選ぶ。
なぜならそのほうが、後々管理しやすいからだ。メールを遡るときなんか、絶対そっちのほうがいい。
でも、どっちかというと僕のような人は少数に感じる、多数の人が返信を好む。

この現象は何故だろう？ってのが、ずっと謎だったんだけど、
最近ちょっと...これかなって仮説を見つけたんです。

多分...多分みんなね、若かりし頃、好きな異性とのメールで、件名に「Re:」の数が増えていくことが嬉しくってその数を数えるだけで幸せだったから、それをきっと潜在的に追い求めているんだろうって、思うんです。
だから、今でも返信に返信を重ねて積み重ってく様に、どこか安心か何かを感じるんだろうって。

それは...たしかに僕も昔はそうだった。
高１の頃に片想いしていた女の子は、当時僕が住んでいた高知市の中でも有名なくらい美人な子だったから、Re:の数を友達に自慢したくなったもんだ。。。結局後にフラれたけど。

そんな時代...つまり2000年代中盤～後半に、10代に絶大な支持を得ていたバンドといえば、
バンプオブチキンであったり、ラッドウィンプスであったり、アジアンカンフージェネレーションであるといえる。
バンプやラッドは今振り返ってもなんとなく、当時人気だった理由がわかる。
でも、アジカンって、今振り返ると、一見理由がわかんなかったりする。たしかにギターは中学生がかっこいいって思うタイプのものけど、、だからってあそこまでムーブメントになるのか？って思う。

でも、あの頃の人気の理由ですが、、これは僕の持論なんですが、
アジカンって、あの当時のインターネット空間と、その中の住人の思いや怒り、自己嫌悪といった感情が、音や言葉になっていたんだと思う。だから、単純にあの時代にマッチしたんだと、思う。

彼らの作品の中に、『君繋ファイブエム』というタイトルのアルバムがあるけれど、
東日本大震災あたりまでの彼らの作品には、一貫してこの世界観があった。
そして、時代はSNSが若者の間で普及し始めたときだった。友情とか、現実感とか、たとえ彼氏彼女の関係じゃなくっても、卒業して終わりじゃなくって、5m（ファイブエム）の距離感が永遠のものなんだという幻想があの頃はあった。

「それが僕のすべてだった。それもたった今失くしたんだ。」

みんな、当時から幻想なんだとわかっていた。
当時からファンの間では有名だったけど、この「Re:Re:」が収録されているアルバム『ソルファ』だが、曲順を逆にすると、"君"が死んじゃう物語になってるってこと。これは、5mの距離感を失くすことの比喩なんだろうなぁって、2020年を生きる僕はそう解釈する。

高1の頃片想いしていた女の子は、高知の大きい病院で看護師として働いて、数年前に結婚したらしい。Facebookでみた。でも、そっから後は知らない。全く知らない。
君繋ファイブエムってのは、つまりは幻想で。
『Re:Re:』だなんて、2020年の10代の子たちには、なにを意味するものかさっぱり分からない謎の記号のようなものといっても過言ではないのであろう。

でも...だからこそ、最近あの頃のアジカンが輝いて見えるのです。