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20200527
FiNAL DANCE - BiS
かつてアイドルは文字通り、盲目的に度を超えて崇められる「偶像」でありファンに夢を与えるような存在だった。しかしアイドル界は今、成長期から成熟期へと移行し王道から変化球、地下まで多種多様になり、生存競争がかつてなほどのレッドオーシャン。そんな中にあって、解散最後の曲となる「FiNAL DANCE」は強烈なメッセージとなっている。
「耐えた 我慢した」という衝撃のワードから始まる第1期としてのラスト曲。これまでの活動への思いをさらけ出すようなメッセージが、そのビジュアルやメロディラインとのギャップによってより強調される。アイドルグループが歌うことによって、まるで危うさの象徴のような「思春期」のヒリヒリとした感覚が、サビの叫びから伝わってくる。
例えるなら、これまで何度もあきらめたくなった部活の最後の決勝戦。正直言って、練習は楽しいことより辛いことの方が多い。だからこそ最後が美しいのである。そして、もうひとつは未来のメンバーに向けたメッセージ。自分たちは決勝を戦い抜き卒業していくが、チームは存続し全く別のチームへと移り変わっていく。
また注目すべきポイントは、イエモンの楽園を思わせる巧みな引用。「Primal.」からの流れを見事に受け継ぐ手法が心憎い。
COMMENT
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- master
MVの演出と色使いが興味深い。後半になるに連れて増える不穏な色調のカットは、90年代後半っぽいなと思っていたのだけれど、引用された楽曲を聞いて納得した。彼女たちはあくまでアイドルの条件に基づいていた子たちなのだなと思う。