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20200316
孤独なカウボーイ - 矢井田瞳
良い歌詞というのには、いろいろと種類があるけれど、大きく2つに分けるとしたら、
・響きの良い歌詞(メロディに載せた時の響きが良い、語感が気持ち良い、など)
・「詩」や「言葉」そのものがよい歌詞(物語が浮かぶ、感情移入させられる、情景描写が素敵、など)
っていう2つになると思う。
もちろん、"歌詞"である以上、どっちにも考慮してバランスをとった歌詞が多いけれど、
だいたいがどっちかに比重が偏りがち、になる。
でも、この両方の要素を同時に高いレベルで実現している歌詞っていうのが、
日本の音楽にも存在していて、
その代表曲が、矢井田瞳の「孤独なカウボーイ」だと思う。
"孤独なカウボーイ 期待しているわ ユーモア"
このフレーズは特にかなり神がかっているように感じて好きだ。
「好き」でも「嫌い」でもなく、「期待しているわ」と表現したことによる、書き手とカウボーイの微妙な関係性が描かれ、
そして「しているわ」と「ユーモア」で韻を踏んでいる感じが、気だるさの中にも心地よさを与えている。
そして曲全体を通してだが、矢井田瞳独特の、マイナーコード調の歌声でありながらも言葉の輪郭がはっきりとした歌い口調は、ただただ素敵。
こういった要素が相まって、この曲の世界の中でしか存在しない「孤独そうで、謎めいているのが魅力的な男性」ってのが描かれている。
ってなわけで、Jポップで最も過小評価されている曲の1つ、だと思う。
COMMENT
あるインタビューで宇多田ヒカルが歌詞について、「劇的な歌詞は実話でも作り話でもない」と語っていた。どこかそんな空気を感じさせてくれる。
ドラマ主題歌に採用されてはいるが、ドラマを忠実に再現しているわけでもなく、カウボーイが出てくるわけでもない。何かをダイレクトに説明する以上に、聞き手にたくさんの情報を与えてくれる。
彼女にしか出せない暗く人を引きつける声に、ふんだんに散りばめられた韻が乗る...これぞシンガーソングライターにしか作れない芸術作品である。
- マスター
- 皆さんからのコメントお待ちしております。お気軽に投稿してください。
- inosan
コアなファンはヤイコの魅力を十分感じられているよねw
この曲は意外にサラッと流していたので改めて解説付きで聴いてハマっちゃいました♪
世界観。。
どんな妄想してるんだろうか。。。。