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20210207
ドンキ行くけどなんかいる? - リアル3区
元スーパーカーで今は職業作詞家として活動してる、いしわたり淳治さんの、朝日新聞デジタルでのコラム『いしわたり淳治のWORD HUNT』というコラムを、ずっと毎月楽しみに読んでいるのです。書籍化された本も買いました。
このコラムはどういうものかというと、
歌詞のフレーズや広告のコピー、さらにはテレビ番組でのタレントとのちょっとした一言をピックアップして、その言葉をいしわたり淳治の視点で解剖する、というコラムです。
とても面白いので、WHRMを見ている皆さんもぜひ、このコラム覗いてみてはどうでしょう。
https://www.asahi.com/and_M/seriese/wordhunt/
さて、もし僕が、このコラムみたいに、何かのフレーズをピックアップして語るとしたら...
という視点で、選んだのが今回のこの曲です。というかこの曲のタイトルです。
ドンキというモチーフを用いることで、
それだけで主人公の女の子と、その彼氏の関係性が温度感を帯びて伝わってくる。
スーパーとかドラッグストアとかコンビニ行くけどなんかいる?じゃなくて、「ドンキ行くけどなんかいる?」。
もし前者だったら、生活感がすごくあって、
一見上手くいっている...でももしかしたら刺激が少なくってマンネリ化している、同棲しているカップルや結婚している夫婦って感じになる。
ロフトとか東急ハンズとかじゃなく「ドンキ」。
もしロフトや東急ハンズだったら、まだ良い女性を背伸びして演じているというか...まだ初々しい状態のカップルって感じがする。
付き合いはじめてだいぶ続いてて、同棲もしはじめたけど、
でも本当に私のことを好きでいてくれるのか、浮気していないのか不安...。
でも、彼と別れるのは嫌で若干依存気味で、まだあんましスッピンを見られるのは嫌という...
ちょいとメンタル弱めの女の子と、(おそらくそんな良い男じゃなさそうな)彼。
そして、多分、ドンキ特有の乱雑な商品ディスプレイのように、暮らしている部屋もそんなきれいじゃないんでしょうね。きっと。
そんな、人物像と関係性なんかを、「ドンキ行くけどなんかいる?」という短い言葉でシンプルに表した、とても素晴らしいフレーズだと思います。ドンキ以外のお店には喩えられないものだと思います。
冒頭のコラムの中なんかで、よくいしわたり淳治が「まだ名前がついていない感情に名前を付ける」という表現をするのですが、
このフレーズも、そういうフレーズの1種と考えてよいのではないでしょうか。
COMMENT
- 皆さんからのコメントお待ちしております。お気軽に投稿してください。
- inosan
これがキャッチコピーの力かと思い知らせるようなタイトル、そしてイノサンの解説。
たった一つのフレーズが登場人物の、年齢、住んでる場所生活時間帯、2人の関係性、趣味趣向なんかを一気に連想させ、そして本文(歌詞の中身)へと明確にいざなう。
なるほど、それが「まだ名前がついていない感情に名前を付ける」ということなのか...。