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20210507
16 Blues - SOIL&"PIMP"SESSIONS
クラブで爆音を響かせるジャズという新しいスタイルで、自らを「デスジャズ」と標榜する彼らの異色の一曲「16 Blues」。他の曲で見られるようなインストとは違い、ストーリーテリングのような手法でリスナーに語りかけてくる。
ジャズがベースの彼らが「BLUES」と名付けた曲を演奏するのもテーマに当てはまる。元々ブルースは、19世紀後半頃にアメリカ南部で黒人達が奴隷解放を歌ったものから発展したものといわれている。
命ないものが自然に動く様と、命ある自分が止まったままただ時が経過する様を、低くゆったりとした朗読でドラマチックに演出。悟りを開くための長く苦しい修行を連想させる「曼荼羅」の彫刻がより一層、努力が報われる瞬間を思わせる。
この曲が収録されているアルバムのラストが爆音でかき鳴らされる「殺戮のテーマ」という曲で締めくくられていることも、より一層の解放感へとつながる。
物事に対する行き詰まり、自分への怒りや焦りを感じることは往々にして誰にでもあることで、このあやしく響く語り声と、美しい楽器音に今日も救いを求めてしまう。
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