-
play_arrow
20210420
月になんて - OLEDICKFOGGY
「バンジョー」と呼ばれる楽器をご存知だろうか。wikipediaによると、「アメリカにおいてアフリカのいくつかの楽器の特徴を取り入れて生み出した撥弦楽器である。」とある。OLEDICKFOGGYの楽曲は、このバンジョーだけでなく、アコーディオンなども取り入れた多彩なサウンドがごちゃ混ぜで、パンクを軸にしながらもどこか懐かしさや優しさを覚える。
「月になんて行かなくていい」
これまで世界が辿ってきた残酷な歴史を繰り返してほしくないという願いが、これほどまでにない詩的な表現で歌われている。
際限ない発展や争いはいずれ地球上には収まらず、宇宙へと浸食されていくんだろう。反権力を歌う歌は数多あれど、こうも優しく独自性が溢れた表現は数少ない。ストレートに力強く訴えるそれ以上に、心の底から願う本質を言い当てているようだ。
しかしふと目線を落としてみると、人類の未来を憂うような壮大なスケールで歌われているようで、もっと身近なテーマで十分に共感できる部分がある。
「○○なんて××」
○○に当てはまる言葉も、××に当てはまる言葉も身近なもに置き換えられる。「月に行く」じゃなくても、「あいつよりお金を稼ぐ」でも「あいつより成功したい」でも「あいつよりモテたい」でもいい。きっと誰にでも当てはまる思いがあるはずだ。
競争やいがみ合いに疲れたとき...この温かみのある楽器音と、必死に歌う歌声と、そして詩的な歌詞がじわりと心に沁みるのである。
COMMENT