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20200717
Don't Go - Yazoo
まるで警鐘を鳴らすかのような前奏。
80年代初頭のニューウェーブにおいて、Haircut 100が昼なら、こちらは夜の印象を強く感じさせる。
イングランド南部の雨を思わせる、湿度のあるダンス・ミュージック。刻まれるビートは、存在感のある長音と絡み合い、後ろ髪を引かれるような余韻を残し、独特の離れがたさを形作る。レザージャケットの黒、雨が降る夜の黒いアスファルト、黒い水たまりに映るネオン。この曲に通底する黒さは、とても人工的な色をしている。
Depeche Modeにいたヴィンス・クラーク、と言ったら、膝を打つ人が多いだろうか。かつてのメロディアスでリズミカルなそれよりも湿度の高い曲調と歌詞が、YazooをしてYazooなさしめるものなのだろう。アリソン・モイエの抑えた声が、煙のように溶けていって、我々はぽつりと夜の裏道に取り残されてしまう。こんな別れも、なくなってしまうのはさみしい。
COMMENT
人工的な黒というワードがぴったりすぎてきもちいいですね。はなれがたい〜
- mikko
- 皆さんからのコメントお待ちしております。お気軽に投稿してください。
- kato
ダンスミュージックのようでもあるのに、こうも不安な気分にさせるのは曲の展開や音階からなのか。
今の時代に聞くと、まるで踏み入れてはいけないステージへと突き進もとしている世界へのアラートのように聞こえてしまう。