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20200918
Waterfalls - Meshell Ndegeocello
カバー曲だからこそ表現できる演者の「解釈」みたいなものが好きだ。
小説を異なる翻訳者が別の言語に翻訳すると、単語ひとつひとつが揺らぎ、まるで違った色になるように、音楽もまた全く異なる様相を呈し始めるのが面白い。
Meshell Ndegocello、ミシェル・ンデゲオチェロ。英語だとミシェル・デゴチェロと読むのが近い。デビュー当時からファンクやソウル、R&Bなどが混然としたアルバムを発表しながら、螺旋のように時代の外周を沿うように回り続ける、そんなアーティストだ。メインストリームに近づきすぎることも、遠ざかることもない自然な距離で、いつの曲を聴いても、どことなくその時代に対する彼女の視線に触れることができる(気がする)。
"Waterfalls"の原曲が発表されたのは1996年。当時のビルボードチャートを席巻したTLCによる原曲は、メロウなR&Bが印象的だったけれど、このカバーは古典的なアコースティックギターが際立つ。あえてグルーヴを押さえたカントリーミュージックのようなギターが無条件な郷愁を誘い、ヨガ・リトリートのような安心感を感じさせてくる。歌詞の意味さえも変えるようなアレンジには、感服さえしてしまう。ゆったりとした歩みのなかで人が現れては消えていく、人生の暗喩のようなミュージックビデオも美しい。
COMMENT
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- kato
歌詞も原曲から変わっているんだろうか、原曲との聴き比べをするとその解釈の違いを感じ取れる。
達観とでも言うべきか、あるがままを受け入れるかのような姿勢を見出してしまう。ひとつ上の視座からの眺めのようなアレンジだ。