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20200513

雨 - PETROLZ

かつてフランス料理は着彩の施された白磁の器に入れて供するものとされていた。それが定式であり、そうするもの、という通念が百年単位の時間で共有されていた。
この30年ほどで、そうした定式は俄かに変容を見せている。スレートの板にあしらわれたオードブル、ごつごつした陶器で味わうスープ、薄玻璃に乗せられる熱いメインディッシュ。それらは、皿と料理がともに食事という経験を作り上げ、それこそが料理の価値であるという認識の変容の中から浮かび上がってきたものといえる。

ペトロールズの楽曲は、そうした組み合わせの妙、重層的な要素のつらなりがひとつの「聴く」経験を作り上げるという前提のもとに組み上げられているのではないか。
材料、調理方法、盛り付けのそれぞれが全て定式を踏まえつつも決して連動はせず、彼らは自分たちが伝えたいものを余すところなく伝えるために、一度決まった構造を解体して、重ね直しているように思える。

全ての感覚を解き放って、聴くという体験に身をゆだねる。耳が、色や匂いや感触までをも拾い上げる瞬間を、息をひそめて見守ると、あるとき全てがつながる瞬間が訪れる。それはとても心地よく、満たされているはずなのに箸が止まらない食事のようだ。その出会いを曲ごとに全く新しい体験として楽しめるのが、PETROLZなのだと思う。

『雨』は技巧的・構築的な楽曲が目を引くペトロールズの作品の中で、歌詞のなめらかな感触を楽しむことができる。三人の声の重なり、それぞれの楽器が思いもかけない響きを奏でる瞬間を、体験してみてほしい。

Text by kato

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音楽の3要素、メロディ、ハーモニー、リズムを存分に味わうことができ、音楽本来の素晴らしさをあぶりだすかのようなパフォーマンス。それらを可能にする確かな技術。

曲中の余白の中でもマクロホワイトスペースを十分に取り、何が主役なのかをはっきりと伝えてくれる。特に、曲終盤のささやくようなギターからのソロへの展開はメインディッシュと言える。

まるでパララックスデザインのように、視差効果ならず「聴差効果」のような演出が素晴らしい。

マスター
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kato

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