シングルカットされていないにも関わらずコンサートでは必ずと言っていいほど演奏され、観客が熱狂する――Suedeにとってのそれが "She" だ。
日本のバンドで言うなら、Bump of Chickenの 『K』、スピッツの『8823』あたりだろうか。最近だと米津玄師の『カナリア』にも似た予兆を感じる。

「売れる」かは分からない、けれど確実に他とは異なる存在感を放つ。万人に受けることが当然のように求められるエンターテインメント業界のなかで、こうした曲を残せること、いつまでも聴衆に愛してもらえることもまた、作り手の醍醐味ではないかと思う。

不穏なベースラインに軋むようなストリングスが美しい。BBCの刑事ドラマ『刑事ジョン・ルーサー』のエンドロールに流れてきたときは物語の終幕にふさわしい鳥肌とともに戦慄した。（『ジョン・ルーサー』では各話のエンドロールにストーリーに沿った楽曲を流すことで有名）

ライブでの熱狂ぶりがうかがえるので、ぜひご覧いただきたい。
https://www.youtube.com/watch?v=UILNgImD-TM