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20201014
Fuck You - Lily Allen
一見するとふわふわしたスカートをはいた女の子がストラップのついたパンプスで石畳をスキップするような、かわいらしいイントロである。歌う声もややハイトーンなので、お花畑な楽曲に聞こえがちだ。しかし耳を澄ませたその瞬間、その声から繰り出される鋭く、痛烈な批判と皮肉と当てこすりに満ちた言葉に思わず目を剥く。
Look inside, look inside your tiny mind, now look a bit harder
わざわざ "tiny"を付けて強調する相手の低能さ。けれどこれは序の口だ。
You're just some racist who can't tie my laces / Your point of view is medieval
わたしの靴の紐を結べないただの差別主義者ですよね、中世の価値観でしょそれ、というのが直訳だが、"can't time my laces" はracistと引っ掛けた韻。結ぶにも値しない奴、と言いたいのだ。
Do you get a little kick out of being so small-minded?
Do you... で始まっているが、これも「◯◯されたことはありますか?」という聞き方だが、「ご自分が原因でそうされている事にも気付いていないんですね」という揶揄。
極め付けはサビの
Fuck you, fuck you very very much
で、これは見ての通りThank you very very muchと同じ音節だ。普段の、あなたが普通と思ってるやり取りにも、丁寧に封筒に包んだ切れ味のいい剃刀を含ませているかもしれないよ、という脅しを、「え〜そうなんですかぁ〜知りませんでしたぁ〜!すごいですね〜!」みたいな声で歌いながらかますのだ、このLily Allenは。
イギリス英語の「気がついたらおそろしくコケにされていた」を音楽で表現した快作であり、最後の最後まで異なる皮肉に彩られた歌詞も痛快だ。ぜひ歌詞とともにお楽しみいただきたい。
COMMENT
ここまで強烈なメッセージが、これだけ軽快なポップソングに込められているのも珍しい。「'Cause its people like you That need to get slew」などはとんでもない一節。
言いたい事を言い放ち、自由で忖度ない心情が軽快なリズムで見事に表されている...そういう意味では、「石畳をスキップする」姿はぴったりなのかもしれない。
- マスター
- 皆さんからのコメントお待ちしております。お気軽に投稿してください。
- kato
リリーアレン!!!高校生のときよく聴いてました。
歌詞の解説をしているようなインタビューも、面白くて夢中で読んでたなぁ。。