静寂の中に響く不吉なベース音からはじまり、トム・ヨークのボーカルによって導かれるかのように、暗く無限に広がる深海を彷徨い続ける。曲の中盤から重なるギターリフがまたたまらない。高低差のあるギターとベースが重なり合い響く様が、会場を次第に飲み込んでいく。

音楽を宗教や洗脳と例えることがあるが、この高揚はそれに近いものがある。

「馬力」という言葉が示すように、馬ほどの力で引き離されるような感覚。この世には到底受け入れることができないほどの残酷な現実があるが、このパフォーマンスこそが馬に引き裂かれたような感覚と言っても過言ではない。もちろんそれは良い意味で。