その昔ミュージカルの劇中歌として作られた曲を、イギリスのバンド「ジェリー&ザ・ペースメイカーズ」が歌い、それがいつしかイングランドプレミアリーグ、リバプールFCの応援歌となった。世界一有名なサポーターソングと言っても過言ではない。

リバプールのホームスタジアム、アンフィールドでサポーター全員が総立ちになりタオルを掲げ、アカペラで大合唱するシーンは何度見ても鳥肌が立つ。試合開始前と終了後には常に歌われている。

リバプールと言えば、1昨年にはチャンピオンズリーグを制覇したヨーロッパの強豪チームのひとつで、ホームスタジアムではこれまでも何度となく奇跡を起こしてきた。その中でも世界中のサッカーファンの脳裏に焼き付いている試合と言えば、2004-2005チャンピオンズリーグ、ACミランとの決勝戦の大逆転劇だろう。0-3のビハインドから奇跡的に同点に追いつき、PK戦の末、チャンピオンとなった。

この戦いにおいても、「You'll Never Walk Alone」が無関係であろうはずがない。「人生ひとりではない」と。戦っているのは選手だけではないと。いかに人々の中にクラブが根付いているのかが分かる。

心から愛したもののために、同じ感情を持つものと共に歌う、これほど強大な力となるものはない。いずれ無形世界遺産に認定されるんではなかろうか。