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20210126
Good Old Fashioned Lover Boy - Queen
名画と言われる作品は、主役・主題が明確であり、計算された構造があり、均整の取れたバランスの上に成り立っている。
クイーン初期のこの曲の主題は、主人公の愛する人へのメッセージ(相手が異性なのか、同性なのかは謎)。それ自体はありふれた主題だが、歌詞は和訳するのも恥ずかしくなるほどの甘い言葉が並ぶ。異なる言語に置き換えること自体が無粋なんだろう。
あなたのために歌を歌い、タンゴを踊り、セレナーデを奏で、ベッドに入る前にはアラームをセットし、高級レストランで食事をおごり、丁寧なドライビングで家まで送り届ける...
old=「古風で昔ながらの」というのはここでは丁寧さ、礼儀正しさなんだと思う。
曲の展開は、ピアノ・ソロから始まる導入、コーラスとともにフェードインするベースとドラム、一旦ドロップアウトしボーカルを際立たせてからのギター・ソロ、そして最後のコーラスへと向かうラストシーン。それらをフレディの美しい歌声と美しいメロディにのせて..。それぞれの楽器音が、完璧なバランスの上に成り立っている。
とりわけ目を引く(耳をひく?)のがコーラスとフレディとの掛け合い。
「Ooh love, ooh lover boy」 「What you doin' tonight」
主人公以外に唯一言葉を投げてくるが、ここではそれが誰なのかは重要ではなく、ナレーター的役割で曲の主役を明確にするリーディングラインとしても機能している。音の重なりやサビへの言葉の連なりが筆舌に尽くしがたいほど美しい。
たった3分間のうちに、まるでミュージカルの舞台を思わせる完璧なショーが展開されているようだ。
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