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20200703
サークルバンドに光を - ヤバイTシャツ屋さん
キャッチーかつメロディアスなパンクサウンドに、どこまでもふざけた歌詞が魅力のヤバイTシャツ屋さんの渾身のメッセージが込められた一曲。ファンなら誰しもが認める名曲と言える。他のすべての曲達が盛大なフリになっているのではないかとすら思えるほどの、本気の一撃を食らわしてくれる。
一言で言い表すなら「リアリティとアイデンティテイ」。
この曲を聞く度に、将来への夢と不安で満ち溢れた学生時代の、あの部室からだだ漏れてくる失敗だらけのバンドサウンドが鮮明によみがえる。これほどまでにリアリティを感じさせるのは、彼ら自身のルーツを歌い上げているからだ。
そして、全小節において並べられた最高のパンチラインの数々は、彼らのアイデンティティを体現している。
「誰でも使える言葉を使って誰にも歌えん歌を歌う」
「ノリと勢いだけそんなことないと分かる人は分かっているはず 自分で自分を肯定してやっと保っている」
「いつまでもネクストブレイクで」
...
上げだすとキリがない。
「初心忘るべからず」。
能を大成したあの世阿弥が生み出したとされるこの言葉の本来の意味を込めたような、自分たちへ、そして夢見るすべての存在の象徴「サークルバンド」へと向けたメッセージ。自分たちの才能を過信せず、謙虚に信じてやり続け、そしてどんな時でも振り返るべき未熟な己の姿を永遠にとどめるための宝物ようなもの。
いくつになっても、何を職に選ぼうとも、何かを感じる力強さが込められた一曲であることは間違いない。
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