「俺は東京生まれ HIPHOP育ち」
あまりにも有名なZEEBRAのパンチライン。その有名さとキャッチーさから、いろんなシーンで引っ掛けて使われる言葉でもある。

もし自分にあてはめるなら..

「俺は大阪生まれ ナイナイのオールナイトニッポン育ち」。

通算1,000回以上も放送され、今なお続くオールナイトニッポン歴代最長の番組である。1994年に1部に昇格した時は、おそらく中学２年の頃だった。

前任の福山雅治のオールナイトニッポンからの流れで聞き始め、思春期まっただ中、眠い目をこすり、深夜1時からひっそりと聞いていた。高校に上がる頃には、カセットテープに毎週録音し、通学途中にウォークマンで何度も聞いた。次の週の放送があるまで、繰り返し同じ回を聞くのである。

決して誇張ではなく、お笑いに限らず人生の楽しみ方から辛い時の切り抜け方まで、ナインティナイン（のオールナイトニッポン）から教わった。

あれから時は過ぎ、2021年、過去番組内で何度も歌を披露してきた矢部浩之がまさかの歌手デビューとなった。

全く笑いなしの本気曲「スタンドバイミー」。一度聞けば、ナイナイのそして相方岡村さんへのメッセージだと言う事はわかった。

振り返れば、ナイナイの２人は、お笑い芸人としてだけではなく、一人の人間として本当に様々なことがあった。その傍らには常にオールナイトニッポンがあった。

ただし、この歌は矢部さんが書いた訳ではない。プロのミュージシャンが書いた曲だ。それがとても重要なことで、予想外にも本気で歌う姿や、その歌詞に心が揺さぶられたわけではない。どんなものであれ、与えられた仕事を全力に取り組むその姿勢、ナイナイのずっと変わらないマインドに心打ち抜かれたのだ。

そうでなければ1,000回以上もオールナイトニッポン1部を続けられるわけがない。今だに「秀ちゃん」をネタにするのはナイナイだけだ。高校時代何度も何度も聞き直したあの頃からナイナイの本質は何も変わっていなかった。

そう、僕の中では今でも矢部浩之の歌と言えばスタンドバイミーではなく、Howeverなんだ。