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20201223
At The Door - The Strokes
不気味に進行していくシンセ音と、突き刺さるようなボーカル、ジュリアンの歌声のみのシンプルな構成。「ガレージロック・リバイバル」や「ロックの復権」などの位置づけで呼ばれ賞賛を浴びてきた彼らが、再び見えない何かと対峙し挑んでいく決意のようなものを感じる。
思えばこういう抽象的な表現や世界観は、邦楽ロックにはなかなか見られない。生まれ育ってきた文化や、宗教観の違いによるものなのだろうか。一度成功を掴んだ人間だからこそ生み出せる領域なのかもしれない。
ある一定以上の評価を得ると、期待されるものも膨らみ続け、それに応えるのは容易ではなくなる。まるで「不気味の谷」と同等とも言えるぐらい、一気に評価を落とすことだってある。上がり続けた期待を常に上回り続けることは至難の業だ。
「At the door」の向こう側にいる存在はなんなのか。
具体的な世界観は何一つわからないのに、まるで希望と絶望による「脳内の会話」を歌っているような、精神世界の領域に踏み込んだ一曲である。
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