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20220504
BACK CITY BLUES - YOU THE ROCK☆
流行に対するカウンターカルチャーでもあるHIP HOPが生まれた背景には、ラッパー自らの出自が大いに関係している。
そのルーツ的名曲の一つに、グランドマスター・フラッシュの『ザ・メッセージ』という曲がある。HIP HOP文化を生み出した黒人たちの、その壮絶な現実を訴える伝説的な一曲である。
HIP HOPには「back in the day」というスラングがあり「かつては」「あの頃は」という意味だそうだ。
例え商業的な成功を掴んでも、ラッパー達はかつてはこうだったと、その辛くハードな人生をラップに落とし込む。まさにそれがHIP HOP的な態度であり、アイデンティティとも言える。
アンダーグラウンドシーンからお茶の間にまで進出し、シーンのど真ん中にいたYOU THE ROCK☆が歌う、『BACK CITY BLUES』はまさにバッキンザデイ的な一曲だ。
「信じる真実は、自分の勇気だと俺は思っている
俺の少し前の事を話そうか」
Youtubeも何もない時代に、地元長野から東京にまで通いつめ、レコードを漁りまくり研究を重ね、日本語ラップを築き上げていった日々。
よく、アーティストに心酔する様を見て、まるで宗教だと揶揄されることがあるが、あながち間違ってはいないのではないだろうか。いくら宗教に無関心な国でも、それが科学なのか神様なのか、はたまたラッパーなのかは人それぞれで、皆何かを信じ、日々生きている。
同じHIP HOPでもスタイルは様々で、ポップなものからシリアスなものまで多種多様。例えばそれは、まるで仏教で言うところの宗派の違いのようにも思える。天台宗、真言宗、浄土宗、禅宗、日蓮宗...ルーツは同じでも解釈の違いから様々な宗派に分かれていく。それが、まるでHIP HOPのスタイルの違いと重なって見える。
今だシーンの最前線に立つYOU THE ROCK☆もその一人なんじゃないだろうか。間違いなく言えるのは『BACK CITY BLUES』は、信じてついていきたくなるだけの力が宿った名曲である..ということだ。
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