-
play_arrow
20220526
いい日にしようね - はぐち
静かなギターリフから始まり、何度も繰り返される歌詞の一部が、淡々と流れていく時間を暗示させる。
人類が誕生したのは、およそ500万年前。数字で表されてもピンとこない。そして、西暦で数えられているのはそのうちのたかだか2,000年でしかない。割合にすると、たったの0.04%。
「歩く」「走る」「風が吹く」「毎日が過ぎる」
人間という存在と、自然が、いつの時代でも変わらず続けてきた活動。そして途方もない時間を延々と繰り返し、その最前線に今いる。
「いい日にしようね」
ありそうで、あまり聞いたことがないこのタイトルは、語り口調は穏やかでも、揺るぎない意志を感じさせる。
どんな独裁者も、権力者も、有名人も、名もなき一般市民も、大人も子供も皆、今日を「いい日」にしたいだけなんだ。
「文化資本論」という考え方がある。親や周りの環境から自然と受け継いだ「文化」という資本を持って世の中に出ていく。やがて異なる文化資本を持つ者たちの間で、それを巡って争いが生じてしまうというわけだ。
異なる文化が交わり起こるすれ違いや軋轢が、時代を複雑にしてきた。
そうやって絡み合って蓄積されてしまった負の感情を、「いい日にしようね」という何気ない言葉で紐解いてくれるような、そんな不思議な空気が漂う楽曲。
ほんの少しでも、世の中の絡まりがほどければいいのに..。
COMMENT