20201204
Born To Be Pooh - THE HIGH-LOWS
みんなの歌に採用されてもおかしくないぐらいの優しい歌声と可愛らしい曲調から始まるこの曲は、そう単純ではない。苦悩なのか、焦燥なのか、楽観なのか複雑な心情が見え隠れする。
「Pooh」とは何を意味するのか?くまのプーさん?いや...「プー太郎」のプー?
ここの解釈によって、曲の捉え方も大きく変わってくる。ヒロトに言わせると、そんなものは人それぞれ好きに受け取ってくれればいいということなんだろう。
手に職を持たず、1年中好きに生活するいわゆるニート。それを匂わす時間の感覚を表す詞が
「時速3時間 あっという間に夜」
「時速2秒 もうずっと夜」
「時速12年 龍のしっぽに蛇 干支がマッハで駆け抜ける」
毎日毎日がいかに長く、そしていかに一瞬で過ぎ去っていくか、天才的な言い回しで表現している。
その時間感覚の中で生まれる何かしないとという焦りや危機感は、「ひとに自慢できることやんなくちゃ」や「みんながあっと驚くような大発見するかもしれない」といった歌詞に現れている。しかしそこに続く歌詞は「Born To Be Pooh」。ものすごい使命感や、未来への希望があっても「生まれながらのプー」と続く。この脱力感がたまらない。ひとの目なんかは関係ないんだ。
そして曲の後半、最後に出てくる時間は普通の人と同じ「時速1時間」。現実に戻ってきている。でもその時は、「マジな顔するほど誰が見ても考えるフリ」。
ニートだろうがなんだろうが焦る必要なんて全くない、やりたいことをしたいようにすればいいんだ。こんな形で人を勇気づける歌を、他には知らない。
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