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20230515
I Went Too Far - AURORA
奇跡的な少女性を纏ったノルウェーのシンガーAURORA。
透明感があり、神秘的で、誰にも縛られず、自律的で独立性がある。日本人的な感覚で言うと、ジブリ作品の女性主人公...そんな印象が似つかわしい。
そんな彼女が歌う『I Went Too Far』は、後悔の念と、終始、執着に溢れた感情が爆発していて、その少女性とのギャップに引き込まれてしまう。
When I cut my hands, so you could stand and watch me bleed?
(私が自分の手を切ったら、あなたは立ち止まって血を流す私をみてくれますか?)
I went too far and kissed the ground beneath your feet
(行きすぎた私は、あなたが立つ地面に口づけした)
Standing in my blood, it was a taste of bittersweet
(私の血の上に立っていて、甘さと苦い味がした)
このような強烈な描写は、狭義には失恋の歌だとも読み取れるが、その特異なキャラクターのためなのか、俯瞰してみた時に、もっと壮大なテーマの隠喩なのではないかと思えてしまう。
環境破壊、戦争や差別、マイノリティへの迫害..など、まるで人類全体の罪を背負い、葛藤する姿を映しているかのようにすら感じ取れてしまう。まるで自然への懺悔のよう。
...と想像を膨らますと同時に、恋人への愛を歌う、ある意味メンヘラ的な恋愛ソングに着地する不思議。
ノルウェーという日本とは遠く離れた所から届けられる楽曲のエネルギーの正体は、想像力を掻き立てさせるその振り幅の大きさからくるものなのかもしれない。
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