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20200401
I'm alive - Norah Jones
もしも2020年3月の世界が、こうも劇的な変化を迎えていなかったら、と考える。公園から子供の声が消え、遊園地に灯りがともらず、目抜き通りを歩く人もまばらな、そんな場所ではなかったなら。
そうしたらこの曲はもっと小さな、例えば会社でアシスタントとして働き始めたばかりの女の子の、仕事中の小さなささくれを週末にあやして去っていくような、そんな生き方をしていたのではないかと思う。
けれど実際には、アメリカやヨーロッパで人々は自宅から出ることも、誰かと触れ合うことすらままならない、そんな状況で。
挨拶のハグも、去り際の握手も、みんなみんな恐れなければならないような日々で。
そんなさみしさを拭いきれないときに、この曲はこう歌う。ちょっと座って立ち止まって、動かないで、と。
You can hope and pray
You can moan
Maybe things will change
いま自分は生きていて、ただ、願っている。運も偶然もなく、ただ、今自分がそうあることだけを見つめている言葉は、ノラ・ジョーンズの染み通るような声にのって、内省的になった心にも、もしくは、そんな心にこそ、すんなりと落ちる。
音楽はその時代に生み落とされ、そしてその時代に育てられる。
この曲が今を生きる人々を癒し宥め、この局面をやわらかく支える存在として根を張り葉を茂らすことを願ってやまない。
COMMENT
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- kato
つい最近までは「alive」と何度も繰り返すことがこんなにも突き刺さることになるなんて、予想だにしなかった。「STAY AT HOME」と訴え続ける今、何人の人の心にこの歌が浸透していくのだろうか。
演出も飾りもなく、ただただまるで透き通る水のようなこの作品ならば、今の人々を十分に癒してくれるのではないだろうか。