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20240425
Little Bit (feat. Haschak Sisters) - MattyBRaps
「小」という文字は、本来は程度がわずかであることを表現するために使われるが、「小馬鹿」「小汚い」「小ずるい」など、逆に侮蔑の意味が強調され、その程度を強めることがある。
男女の掛け合いをリズムよくつなぐ楽曲『Little Bit(ほんの少し、若干)』は、TikTokなどのショート動画にマッチしたことで、爆発的な人気となった。夢を語り、外堀から攻めていき、身近なレベルの話題に落とし込み、最後は指輪で落とすまでの男女のコミニケーションが歌われている。
男性からのアプローチが進むにつれ、はじめの嘲笑や侮辱のニュアンスは逆転し、「ほんの少しも思わない」という否定を含んだ元々の意味は、「かなりいいと思う」という肯定の意味に変化していく。
聞き手にとっても予想通りの展開に、思わずクスッとしてしまう。
日本語は世界でもトップレベルに難しい言語だと言われている。
世界の言語と比較すると、発音や文法はそれほど難しいわけではないが、語彙の難易度がとにかく高いらしい。
また、日本語は世界でも最も「ハイコンテクスト」な言語の一つだとされている。
ハイコンテクストなコミニケーションでは、相手の意図を察し合いながら、説明を明確にせずとも会話が成立してしまう。多くを語らず空気を読む文化なのは承知の通りである。
例えばこの曲が日本語で構成された曲だったとしたら、掛け合いのような構造にはならず、片思いに悩み、「ほんの少し」でも想いが伝わればいいのに..といった心の中の声が歌詞になっていたんじゃないだろうか。
曲の後半、男性側からのアプローチに対して、女性側からいくつか確認が入る。空気に流されることなく、意志を確認していく様子が描かれる。この曲のハイライトと言ってもいい。
まさに言葉で伝え合う「ローコンテクスト」なコミニケーション。
はじめは、小馬鹿にされあしらわれていたのに、最後は「あなたは大馬鹿ね」と、褒め言葉に逆転していく様が容易に思い浮かぶ。
ハイコンテクストな文化に染まってしまった僕らに、何か気づきを与えてくれる楽曲...なんて小難しく考えてしまう。
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