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20240403
Nah - CreativeDrugStore
万物流転、不易流行、『A rolling stone gathers no moss』など、変化に適応したものだけが、生き残ることができるという教訓めいた言葉は数多く存在する。
芸術の世界もまた、絶えず変化を繰り返してきた。
例えば、絵画は中世において、現実世界をどれだけ忠実に再現できるかが重視されてきたが、カメラの登場によりその意味を大きく変化させた。
その後、絵画はより内面を描く方向へと進化し、果ては具体的な対象物すら取り払われるようになった。
1970年代に生まれたHIP HOPも、絵画の歴史には遠く及ばずとも、さまざまな表現方法を取り入れ進化してきた。カウンターカルチャーとして産声をあげ、今やメインストリームにまで成長している。
CreativeDrugStoreというグループは、個性の異なる4人のラッパーにDJとVideoディレクターが揃うHIP HOPクルーだ。4人のラッパーはそれぞれソロでも活動しており、最近になってようやく4人揃っての活動が本格的になったそうだ。
まるで、コロナ禍で散り散りになり、オンラインでのみのやり取りを経て、再び対面することが多くなってきた最近の時流を象徴しているかのようである。
彼らの楽曲は、マイクリレーというHIP HOPでは定番のスタイルで、その魅力が存分に詰まっている。
しかし、ビジュアルやビートから想像するに、不良達のセルフボースティング的な内容かと思いきや、そうではない。
ここにこれまでの価値観のゆるやかな変化が見て取れる。
SNS全盛の時代、承認欲求を満たす行為が溢れかえっていたが、その価値観にも変化が起きている。
着飾った姿を不特定多数から賞賛されたいというような承認欲求は、もはや過去のものとなりつつあり、「腕試し欲望」とも言える自己表現の欲求に変化している。
そんな時流が、CreativeDrugStoreのスタイルに見事に重なる。
もはや、過度に己を誇示する必要はない。自分達が磨いてきたセンスを提示するだけでいい。コロナ禍を含む10年を経て集結した彼らが蓄積してきたアイデア、スキル、スタイルは見事にリスナーに届いてる。
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