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20230212
女一代宵の内 - Cocco
どんなにがんばっても、一人の人間の想像が及ぶ範囲には限界がある。
何事もなく暮らせている今この瞬間にも、とてつもなく熾烈な環境に置かれている人はたくさんいるだろうし、食べるものすらままならない人だってたくさんいる。
想像できているつもりでも、全く想像なんかできてはいない。そうでないと、苦しすぎてとてもまともに生活なんてできない。ほんの身の回りのことで精一杯だ。
人生をひとつの物語として考えるなら、もう出番がなくなってしまったと言える登場人物はたくさんいる。
学生時代の同級生、アルバイト仲間、職場の元同僚、ただ道ですれ違っただけの人...その中には「女一代宵の内」にぴったり重なるような人がいるのかもしれない。
そんなことを考えると、まったく無関係の人の人生までもが急にドラマチックになる。
Coccoの歌はどれも、自らを映す鏡のようなもので、まるで彼女自身と歌が一体化しているかのよう。演歌?歌謡曲?のようにすら聞こえてくる重厚で華美なサウンドと、しなやかで美しい歌声は、聴く人を包み込む...という評価がまさにぴったり。
そこには、一人の人間の想像力の限界を大きく広げてしまうほどのパワーがあった。
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