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20250202
リピート - Aooo
「なんでもないあの夜にお気に入りの栞を」
何気ない日常のひとコマに、お気に入りの栞をはさんでおいたあの夜が、何度でも繰り返されればいいのに...けれど、時間は決して巻き戻らない。
その切なさが、美しい描写で綴られている。
リピート=繰り返しとは、振り子のように行きつ戻りつし、同じことを何度も反復すること。
しかし、日本人の心に古くから根付く仏教的な考え方では、すべてのものは常に移ろい、とどまることがない。時間は一方向へと流れ続ける直線的なものとする方がしっくりくる。
「花が咲いてはっとなる
雪が降ってぎゅっとなる
二人去って愛を知る
気づけないよ ああ」
悟りを開いたわけでもない僕らは、そんな当たり前のことに気づかず、毎日を過ごしている。そしてふと気づく。あの栞をはさんでおいた夜には決して戻れないことを。
この歌の最後が、あの時に「戻れないよ」と嘆いて終わるのではなく、「気づけないよ」で締めくくられているところにグッととくる。
また、仏教には「無我」という教えがある。
この世界は、人も動物も虫も、木々も水も空も、あらゆるものがつながり、常に変化しながら入れ替わっている。すべての存在には固定不変の「自己」がない――それが「無我」の考え方だ。
アイドル活動から始まり、赤い公園への加入、ソロ活動、そしてAoooへ。
フロントマンである石野理子というボーカリストが、数多くの女性アーティストの中でも際立った存在に感じられるのは、彼女の歌声や表現に、この無我の境地が宿っているからなのかもしれない。
そんな風に、日本人の心に脈々と流れる仏教観と重ね合わせてしまうのは、大袈裟なことなんだろうか。









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