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20241002

ストックホルムの箱 - ブランデー戦記

「ストックホルム症候群」をテーマにした楽曲...と言われてピンとくる人はどれくらいいるんだろうか。検索すればすぐに意味はわかるが、それを瞬時に理解できるほどの教養を持ち合わせていたわけではない。

最初に心を掴まれたのは、ストレートなロックサウンドと歌謡曲のような陰影のあるメロディ、そして彼女らのビジュアルに強烈に惹きつけられたからだった。

テーマを理解し始めると同時に、バンドに対する評価を繰り返し目にするようになる。それはきっと「ブランデー戦記」に興味を持った多くの人が辿った道と同じだと思う。

そこに、語れるほどの独自の視点があるとも思わない。

しかし、「ストックホルム症候群」という実際の銀行強盗事件から名付けられた心理現象を題材にし、被害者の視点を生々しく描いたこの曲には、不思議と引き込まれた。

共感しづらいテーマのはずなのに、なぜこれほどまでに惹きつけられたのか。それは、ある記憶が心の奥底に影を落としていたからだ。

その記憶とは、ある日偶然耳にした親子の会話だった。

教育と呼ぶにはあまりにも過激な暴言を浴びせる親と、それに何も言い返せずただ黙っている子ども。その場に居合わせたときの胸の痛みは、今でも言葉にすることが難しい。

あの子も、親に対して「私に愛をくれる」と思っていたのだろうか。

明らかに被害者でありながら、加害者に対して深い愛情を抱く。きっとそんな自分の感情も理解できないような年頃だったと思うが、それがあの子に唯一残された生存戦略なのかもしれない。

その記憶がよみがえった瞬間、検索ひとつで意味を理解できたつもりだった「ストックホルム症候群」が、突然リアリティを帯び、自分との接点を持つ様になった。

決してプラスの感情ではない。

あの時、自分は何をすべきだったのか。自分の子には同じようなことをしていないだろうか。社会にいる多くの同じような境遇の子どもたちに対して、自分に何ができるのだろうか。

散らばっていた記憶や感情の断片がつながり、一本の線となってこの曲が大きな意味を持つようになった。

Text by master

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master

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