-
play_arrow
20240809
distance - FARMHOUSE
長さの概念には、物理的距離以外にもさまざまなものがある。
たとえば、秒や分など時間的な長さもあるし、身長の高さだってそうだし、音楽の拍数、書籍のページ数、プログラムコードの行数などさまざまである。
一言で「距離」と言っても、そこにはいろんな文脈が含まれている。
会えない距離、届きそうで届かない距離、すれ違い、叶わぬ夢、死別など、古今東西、あらゆる芸術のテーマになり得てきた。
HIP HOPグループの中でも異彩を放つ「寿司ボーイズ」のMCでもあるFARMHOUSEのソロ曲『distance』は、そんな「距離」をテーマに、自身の生い立ちを詰めこんだ、まさにバッキンザデイ的な一曲だ。
ところで、年齢が上がるほど、時間感覚が短くなる現象は誰しもが感じるところだろう。それを心理学的には「ジャネーの法則」と呼ぶ。例えば、10歳の子供にとっての1年は、人生の1/10の時間に相当するが、50歳の大人にとっては、1/50にしか過ぎない。
年を重ねると、同じことの繰り返しが多くなり、刺激や発見も少なくなるため、時間があっという間にすぎていくように感じてしまう"あれ"である。
「小学校の5分少しでも時間ありゃやるドッチボール」
小学生にとっての数分は今では考えられないくらい貴重なものだった。寿司ボーイズがそうであるように若い時の経験は非常に大きく今を形成している。学生時代の友人とのノリがそのまま形になってできたグループが、寿司ボーイズであり、ラッパーFARMHOUSEというわけだ。
「ピンクのギャッツビー カマハンしてる奴らがhate me 高ちゃんの肩パンくらったあと 腰パンしたまんまで食べてる揚げパン」
学生ノリのようで、センスの塊のようなリリック。
インターネットをはじめいろんな技術の発展によって、いろんなものが民主化されたと言われているが、「才能の民主化」と呼べる現象が起こっている。
教室の片隅で気の合う仲間内でのみ披露されていた才能を発見できる喜びが、今の時代にはある。
数年前は、限られたアーティストだけがミリオンセラーを連発していたが、一体いくつの才能を見逃していたのだろうか。
1時間の通学路が途方もない距離だった時代は、数年後には、FARMHOUSEのようなラッパーが瞬く間に世界中に知れ渡るような時代になっていた。









COMMENT