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20230731
乙女のワルツ - 伊藤咲子
これまでも幾度となく歌われてきた、初恋という題材。舞台や表現は変化したとしても、根本にある人間の感情や苦悩は、50年経とうが大きく変わることはない。初恋や片想いはつらく切ないものである。
ドラマチックな導入部分のコーラスに始まり、独り言のようにたんたんと進むAメロ、感情の高まりに呼応するかのように歌い上げるサビ。想いが届かない現状を、ドラマチックに彩る曲の展開が胸を打つ。
うまくいかない現実を変えようと、密かに込める願いがその通りにはいかず涙を流す。
月は現実を、花は願いを、そして雨は涙を。
自然の営みに主人公の姿を重ね合わせた歌詞がどうにも美しい。
これからさまざまな経験を重ねていくであろう一人の少女。でも、初期衝動は誰にとっても特別なものなんだと、俯瞰した視点から見守るような気持ちにさせられる。
「初恋」という言葉で表現することが難しいテーマを、繊細な心の動きと行動の描写で伝えた名曲。きっと誰しもが、心の中に自分なりのシーンを思い浮かべながら耳にしたことだろう。
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