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20200611
I AIN'T GANGSTA (feat. Mic Jack Production) - DJ BAKU
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マイクリレーという形式は、HIP HOPの醍醐味のひとつだ。
複数のMCがビートの上で言葉をつなぎ、それぞれの個性と思想をぶつけ合う。日本語ラップにおいて語り継がれる『証言』のような楽曲も、その象徴である。
そんな系譜に連なるマスターピースが、DJ BAKUの『I AIN'T GANGSTA』である。
鋼のように硬質で、バッキバキに研ぎ澄まされたサウンド。その上に乗るのは、超攻撃的なラップ。
タイトルが「I'm not」ではなく「I ain't」であることにも意味がある。くだけた否定形に宿るのは、迎合しない姿勢と強い意志だ。否定は、ときに肯定よりも雄弁にスタンスを示す。
数多くのMCと出会い、競演してきたDJ BAKUが、この曲で選んだのはMJPの4人。白人でも黒人でもない、日本人としての立場から放たれるリリック。それぞれが言葉のバトンをつなぎ、最終的にDJ BAKUへと還流していく構造は、美しい緊張感を孕んでいる。
「BAKUは夢を喰らい覚醒を促す」
このパンチラインの破壊力。
うわ言や虚勢を喰い散らかし、本物を見せろという挑発にも聞こえる。
匿名の罵り合い、炎上、フェイクニュースが溢れる現代。
声の大きさや拡散力が正義のように扱われる時代にあって、この曲は真逆の方向を向く。外へ向けて騒ぐのではなく、内なる強さを磨けと静かに、しかし強烈に訴えかける。
群れず、媚びず、しかし確かに連帯する――そんなHIP HOPの矜持が体現されている。
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- master









伝わるために相手の文法を借りて喋る、その行動はシンプルで、だからこそとても強い。自分のものにしたつもりでも、言葉も口調も確固たるものではなく移り変わるように、手に入れたはずがいつのまにか姿を消していることも珍しくない。そんな数多の中で「残る」ものは、それだけ借り物と自分との境界を曖昧にできたものかもしれない。