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20210722

ROADS OF THE UNDERGROUND - THA BLUE HERB

かつて、太平洋戦争に破れぼろぼろになった日本人の心を支えたのが、かの有名な天皇陛下の玉音放送である。

「THA BLUE HERB 札幌から力を、スピーカーの向こう側の後ろ姿へ」

この歌の最後はこう締めくくられる。

普通、スピーカーの前で聞く人は、スピーカーに正対しているはずだが、彼らは、ただ一人のリスナーに対し、後ろから支えるようにメッセージを送る。

この道をからかう奴らと戦う
消えてった奴らの分も戦う
辞めてった奴らの分も戦う
死んでった奴らの分も戦う
打ち負かした奴らの分も戦う

HIP HOPにおける最も刺さる一節をパンチラインと言うが、THA BLUE HERBの楽曲の中でも一二を争うぐらい好きなリリックである。聞いて分かる通り「戦う」を韻に5つの文章を繋ぐ。

ここで触れておきたいのだが、パンチラインとは広告におけるキャッチコピーのようなもので、最も伝えたいことを端的に言い当てる言葉と言える。しかし、誰が、どのような場面で歌うかによって、まったく受け取られ方は異なってくる。パンチラインとはその人自身の代名詞のようなもので、どれだけ強烈なメッセージであろうと、別の人が歌うことでは全く意味をなさない。

THA BLUE HERBが歩んできた道のりを振り返ってみれば、冒頭に上げた歌詞の重みが理解できる。

東京一極集中のHIP HOPシーンに己の力だけで立ち向かい、その過程において消えていった奴、諦めて辞めていった奴、中には命を落としてしまった奴、そして真っ向勝負を挑み打ち負かしていった奴...それらすべての思いを背負い歌い続けているんだ。

また「レペゼン」という言葉もよく耳にすることだろう。

フリースタイルでも有名なラッパー晋平太氏によると、レペゼンとは「代表する」「象徴する」ということであり、自分がどこからきたのかを明確に表現することであると自身の著書で語られていた。THA BLUE HERBは、これまで打ち負かしてきた相手達のことをも背負い、それらすべてを「レペゼン」しているというわけだ。

「したい人、10000人。始める人、100人。続ける人、1人。」

こんな言葉を聞いたことがる。

たった一人残った人は、辞めていった9999人の思いを背負い、そしてレペゼンし、やり続る。自分にはとびきりの才能があるわけでもなく、他の人より頭がいいわけでもない。誰にも負けない行動力があるわけでもない。ただただ愚直に、やりだしたことを続けることでしか戦うことができない。

THA BLUE HERBの生き様を支えに今日もこの文章を書き続ける。

Text by master

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master

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