AORを思わせるメロディーラインが、静謐なピアノや静かなハイハットに滲んで、まるで水彩画のような自由さと可能性を感じさせる。アンティークになりかけている東海岸のジャズサウンドを、現在のキーボードサウンドでやわらかくリファービッシュする力加減が、Kan Sanoの魅力だと思う。リファービッシュって日本語だとどう言うんでしょう...。リノベーションとも違って、そこにあるものの良さや未だ残る可能性を決して捨てずに、使える（聴ける）ものに仕立て直すようなイメージを持っています。おしゃれだけれど、どこか下心を捨てきれていない曲調なので、翌日なにも予定がない日の夜に一人でひっそりと聴きたくなる曲です。