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20200520
Hello, Again 〜昔からある場所〜 - My Little Lover
「2番が素晴らしい曲選手権」を開催するとしたら、
僕は迷わずこの曲を選びます。
「自分の限界がどこまでかを知るために 僕は生きてる訳じゃない」
って、もうこの2番の歌い出しのフレーズだけで、名曲!名詞!って感じなのに、
このあとに、なんと「だけど」という、逆接の接続詞が来てしまう。
名言のあとに、自らそれを否定しはじめるかのような、そんな接続詞が来てしまう。
そして、「だけど」の後には、自然の情景描写が入る。
「新しい扉を開け 海に出れば 波の彼方に ちゃんと"果て"を感じられる」
構成にしたら、
「自分の意志・考え方」→「逆説」→「情景描写」
ってなる。
冷静に、文法的に考えると、この2つ「だけど」という接続詞でつなぐのは不自然な気がします。
ふつうであれば、「だけど、人は限界に挑みたくなっちゃうもの」とか、そういう言葉が来そうなところ。
でも、そうじゃなくって、海の描写と、「感じられる」っていう受動型の言葉。
「思う」とか「目指す」とかじゃなくて、そして「感じる」じゃなく、「感じられる」。ここ重要。
そして、この後のサビで、
「僕は この手伸ばして 空に進み 風を受けて 生きて行こう」
という決意の言葉が来る...んだけど、
その決意さえ、自然の景色や風と一体になっている。
歌詞カードをじっくり読んでみないと、決意とさえ気づかないレベルに情景に溶けている。
まあ、結局のところ何が言いたいかというと、
"決意なんだけど、まったく力みがなく、自然体"。
こういう曲って、なかなかこの世に存在していないって思います。
というか、そもそもこれを適切な加減で表現するの難しいし。
ディするわけじゃないけど、ミスチルの決意ってなんか力んじゃうじゃないっすか。
「もっと大きなはずの自分を探す終わりなき旅」とか...って、そう歌われちゃうと、
なんか、聴き手としては力んじゃうじゃないすか。心に響けば響くほど「頑張ろう」って気になっちゃうじゃないですか。
それが良いこともあるけど、頑張りすぎにつながることもある。
だから、頑張り屋さんに、高い目標を持つ人に、ぜひ聴いてほしい名曲です。特に2番ね。
もしかしたら転職したくなっちゃうかもね。もしそうなったらごめんなさい。
ちなみに、ぼくはまた転職することになりました。この場を借りてご報告。笑
COMMENT
2番選手権があるなら、個人的に光ると思ってる箇所が、サビ前にかかる「僕は」がサビ側にかかっている部分。同じメロディで言葉数を絶妙にリンクさせている高度なテクニック。
「自然体」と評したように、自然を前にしては誰もが無力で、最終的にはすべては自然に帰る。音もデザインも人間も最後は自然。そんなことを暗に示しているのかもしれない。
個人的には、この曲が転職の発想につながることはなかったが..
- マスター
- 皆さんからのコメントお待ちしております。お気軽に投稿してください。
- inosan
1番のサビと最後の大サビは同じ歌詞なのに、2番を経ることで意味が大きく変わってくる。
個人的な解釈では、最後には寂しさを残しながらも「君」との決別を感じられる。
それも「雨はやがて上がっていた」という情景描写の効果が大きい。
力まないけれど前を向ける曲って貴重ですね。