愛媛県伊方町(佐田岬半島)。豊後水道に突き出した、鋭い矢のようなその形を、マップの方でぜひ確認してみてください。
こんな個性的な場所は、是が非でも行かねばなるまい。
というわけで、
いかにも険しそうな行程にやや難色を示すOMちゃんを引っ張って、
半島付け根の八幡浜から、実に2日がかりで、佐田岬の先端まで走りました。
峻険なリアス式海岸、やはり、UPDOWNがきついです。
半島を貫く国道(R197)は、メロディラインという愛称が付けられていましたが、
高低に激しいロックなメロディでした。
…たまには優しい演歌も聴かせて!
♪酒は熱燗 佐田みさきー
鳥羽一郎の名曲「佐田岬」を思い出したり忘れたりしながら、
西へ西へとひた走る。
秋。愛媛は今みかんの季節です。
まわりには、森か海か、そうでなければみかんの段々畑が広がり、
よく見ると青や黄色の実がわんさか生っています。
(おじさんにもらったみかんは本当に太陽の味がしました。おじさんありがとう。)
そして尾根には、先へ行けば行くほど、
風力発電の風車がズラリ立ち並んでいて、壮観。
真下に行ってみると、これがまた面白い!
ぐリン・ぐリンとブレードがスウィンぐして、
その巨大な影が、下に居る僕らに襲いかかるようにこれまたぐリンぐリン来ます。
「(ブレードに)しがみついてみたい」
OMちゃんは、よく分かるような全く分からんようなことを言って、感動を表現していました。
そしてたどり着いた佐田岬灯台で、
僕らをその美しさで虜にしたのは、
海に沈む夕日でした。
き、きれいすぎる…
濃いみかん色に光り輝いてゆれる海面に、
漁船が一隻、ゆったりと波をひいていく。
太陽はみるみる高度を落としてゆくのに灯台の時間は半ば停止して、
虜になった旅人は、
たまに思い出したようにシャッターを切るほかに何も出来ませんでした。
やがて夕日は沈み、茜色の西の空に、
交代で金星が一個、見事に打ち上がった。
しかしそれは、
その後につづく、満天の星による長い夜の宴の始まりに過ぎないのでした。
「きてよかった…」
彼女が小さく洩らしました。