BLOG一覧から検索する

関門海峡

2008/08/26 [23:28]

とうとう本州の果ての街、下関にやってきました。


青森に居たのはいつだったっけ?
あの日はねぶた祭りが佳境でした。
ちょうど良いときに来た。とも思ったし、
祭りの熱狂は見ているだけでもいくらかは味わえた。ねぶた(山車)の迫力はすごかった。
でも寂しくて、人々が羨ましくて仕方なかった。
去年の八月初旬、去年の、ねぶた祭りです。
「他人が羨ましいときその人はいま未熟である」
という言葉がありますが、(無いけど)
そういう意味では僕は随分たくましくなりました。正直。


さて、今目の前にあるのは関門海峡。狭い海峡です。
手の届きそうな対岸に、門司の街並みが見え、
右に左に往来する船舶も、ちょっと気を抜けばぶつかってしまいそうな密度です。
意外ときれいな水を覗き込んでみると、
潮流が複雑に、うねうねぐるぐる流れているのが分かる。
平家が散った壇ノ浦の海はこうも狭い海峡だったのですね。
海の底の都はさぞ慌ただしいことでしょう。
そういえば!
倶利伽羅峠から木曽に回り、木曽義仲の旗揚げの地にも行った。大津のお墓にも行っているし、
珠洲神社や、例の義経終焉の地、平泉の中尊寺の参拝は、自分の中で特別な体験だった。
さらには平維盛関連の霊所のこともある。
一ノ谷、屋島、厳島神社、と瀬戸内の源平合戦がらみの場所を順々に訪ねて、
さいごに壇ノ浦の潮流を見る。
という、ひそかな企画があったんですが、忘れてました。
隠岐や広島に吸い寄せられたからですね、きっと。
最挟部1キロほどの海峡を、
クルマは橋で渡り、人と自転車は歩いて海底トンネルで行き来します。
トンネル入り口でカメラのシャッターを押してもらったご夫婦は、
このトンネルを日々のウォーキングのルートに使っておられるそう。(激励ありがとうございました!)
下関と門司、さらには隣接する小倉。
海峡を挟んで向かい合う、この個性的な、旅情たっぷりの
いわば一つの都市圏も、
ここで暮らす人には至って普通な景色なわけです。
僕はこの景色を飽くことなく眺めていて、
トルコのイスタンブールを思い出しました。
ま、行ったことないんですが。


さて、この2日間大いに僕を笑わせ、楽しませてくれたOMちゃんとも、ここ下関でお別れです。
築100年の旧英国領事館の豪奢な邸宅で、
やたらデスクの引き出しを開けて空を確認していたお茶目さん。
人の家で出された料理を頑張って残さず食べているうちに、
キライな食べ物を次々克服してきたイイ奴。
OMちゃんの先の旅路に幸あれ。


comment (6)


毘沙と美女

2008/08/25 [12:24]

本州最西端「毘沙の鼻(びしゃのはな)」へ向かう! 道がなくて行きにくいというもっぱらの噂だったので、 パスしようかとも思っていたけど、 天気もいいし、何となく足が向きました。


R191から西に逸れ、地図を見ながらあとは勘を頼りに岬を目指します。
人影が無い代わりに、可愛い白サギがたくさん居る、のどかな田園地帯を抜けて、
道はどこまでも狭く、また勾配はどこまでもきつくなっていきます。
たまにバイクが颯爽と僕らを抜かしていき、
目的(勿論、毘沙の鼻)を遂げ、引き返してくる。バイクはやい!
そう、ところで実は、たまたま逢ったあるサイクリストと共に岬を目指していました。
振り返れば仲間がいるこのよろこび…!
これまでの1万キロのうちほとんどを、勿論一人で走っているわけですが、
一瞬でもこうして誰かと一列になって走れると、新鮮で楽しいです。


彼女OMちゃんは珍しい日本一周女性サイクリストで、
あまり詳しく書いたら当人に怒られそうなんで書きませんが、
キャンプ場が無かったら、民家にいきなり行って庭先を借りて泊まらせてもらう、という気骨ある人。
前日に角島(つのじま)に渡る橋のたもとで出くわして以来、
行動を共にさせてもらいました。


さて「毘沙の鼻」。
さいごは自転車を降りて押しながら、とうとうたどり着いたそこは、
絶景でした。
辺鄙な場所ゆえ、前日の角島灯台が観光客いっぱいだったのと対照的に、我々しか居ないし、
位置が高いので波音も聞こえなくて至って静か。
蝉の声だけが岩にしみいって(!)ました。
太陽が海面に反射してキラキラ…
右手の奥には角島が薄ぼんやりと浮かび、
左手の奥にはこれから向かう下関の市街地が、これまたぼんやりとある。
通り過ぎた情景と、向こうに待っているこれからの情景。
きのうとあしたに挟まれた今日という日のライブ感。
ひとしきり風に吹かれてから、毘沙の鼻を後にしました。
「さ、そろそろいきますか…」
「ハイ!」
OMちゃんは返事がいい。思わず笑ってしまいます。



ふたつの陸繋島

2008/08/22 [19:09]

棚田棚田と言っていますが、陸繋島を忘れたわけではありません。


陸繋島。りくけいとう。陸につながれた島。
海岸近くに島があると、
例えば、海峡部分でぶつかる両側からの波の影響で、
長い年月の間に砂が堆積して島が陸地に結ばれてしまう。
そんな地形のことです。


有名な、函館や江ノ島、潮岬もそれぞれ素敵でしたが、
長門市の市街地から北西に20キロ、油谷島(ゆやじま)をこの度訪れ、
ここ来て良かった!と心底思いました。
周囲6キロほどのわりと大きな島が、最細部分100メートルくらいの砂州で結ばれ、そこは小集落「大浦」になっています。
典型的な陸繋島です。
きれいな碧いろの海と、平地がほとんど無いなか斜面に拓かれた棚田の数々、
油谷島一周は、さんさんと照りつける太陽の下、
海とイネの匂いに包まれて、とても幸せなひとときでした。


「べこ(牛)おるよ。」
お婆ちゃんに案内されて行った先には、
母牛のお乳を懸命に飲む生まれたばかりの子牛の姿があり、
海を眺めながらの、お母さんののぼーっとした顔がまたのどかで良かったです。


さて、自身が陸繋島である油谷島には、
先っぽに、もう一つ小さな陸繋島が付いていました。
ダブルははじめての遭遇、かなり興奮しました。
写真2枚目はその小さな陸繋島、俵島(たわらじま)です。
函館とは対極にあるような、完全に「手付かず」の陸繋島は、
息を呑む美しさで、しばらく波打ち際を離れることが出来ませんでした。。。
風と波が結構あって、渡るのは断念しましたが、
干潮時にはそれでも十分渡れるのだそうです。


油谷島と俵島。
地球と月の麗しき関係のような、陸繋島コラボレーション!
日本縦断陸繋島ランキングの、かなり上位に食い込んできそうであります。




ALL  1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18   19   20   21   22   23   24   25   26   27   28   29   30   31   32   33   34