R58。
満を持して登場する、この旅のラストを彩る主要国道です。
鹿児島市の中心部をわずかに0・7キロ走っていきなり海を渡り、
種子島を縦断し、海を渡り、
奄美大島を縦断し、海を渡り、
沖縄本島を縦断して那覇市に至る、
海上部分を含めた場合の最長の国道です。
このように、海上部分を含む国道というのは、日本各地に28本もあって、
旅に出て初めて知りましたが、
実はそう珍しくはないんです。
しかしここまで陸上部分より長い海上部分を持つ国道というのは、さすがにR58だけでしょう。
ちなみに「国道」のイメージに合わない国道は他にも沢山あります。
青森にあるR339は山中に階段部分があるし、(唯一の「階段国道」として観光名所化している)
険しい峠に、歩いてしか通れない部分を含む「登山国道」は、もっとざらにあります。
国道だからといって安心して走っていると、
車が離合できないような狭い険しい道になっていき、
これが国道か!と笑えてくることが、僕にもちょくちょくありました。
ところで、国道は1号から始まって、何号まであるかご存知ですか?
300?400?
答えは507。
案外多いですよね、しかし欠番があります。
59から100は存在しません。
戦後、国道をいちから制定しなおすに当たって、
基本的に県庁所在地同士を結ぶ、主要な国道を「一級国道」として一桁と二桁を付し、
それ以外には「二級国道」として三桁の数字を101から付けていった結果、
主要な国道は57でストップし、58から100の欠番が生じたわけです。
(ただしその後の法改正で現在は一級二級の区別は無い)
そして1972年、戦後27年間アメリカ領だった沖縄の返還で、
欠番だった58が出現しました。
占領下の沖縄の大動脈だった「ハイウェイNo.1」を、
県内だけを走る「三桁国道」でなく、
本土から繋がった「二桁国道」にしたい。
占領を味わった沖縄の人々のこの気持ちが、
地図で見ると若干無理矢理な感じも否めない、この最長の国道を生んだというわけです。
道は人の思いを受けとめます。
毎日走る国道。あの頃、毎日走った国道。
あなたがこよなく愛する国道は、何号ですか?
僕が今回の旅で最後に世話になるこの国道には、
上の経緯から、特に思いが強く籠もっていると勝手に思っています。
それは旅人のかりそめの感傷かもしれません、
しかし一方通行の愛も僕に限っては許されるはず、
だって鹿児島どころか、北海道から道を繋いできたんだから!