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Route 58 道に魂は宿る

2009/02/02 [23:58]

R58。 満を持して登場する、この旅のラストを彩る主要国道です。 鹿児島市の中心部をわずかに0・7キロ走っていきなり海を渡り、 種子島を縦断し、海を渡り、 奄美大島を縦断し、海を渡り、 沖縄本島を縦断して那覇市に至る、 海上部分を含めた場合の最長の国道です。 このように、海上部分を含む国道というのは、日本各地に28本もあって、 旅に出て初めて知りましたが、 実はそう珍しくはないんです。 しかしここまで陸上部分より長い海上部分を持つ国道というのは、さすがにR58だけでしょう。


ちなみに「国道」のイメージに合わない国道は他にも沢山あります。
青森にあるR339は山中に階段部分があるし、(唯一の「階段国道」として観光名所化している)
険しい峠に、歩いてしか通れない部分を含む「登山国道」は、もっとざらにあります。
国道だからといって安心して走っていると、
車が離合できないような狭い険しい道になっていき、
これが国道か!と笑えてくることが、僕にもちょくちょくありました。


ところで、国道は1号から始まって、何号まであるかご存知ですか?


300?400?


答えは507。
案外多いですよね、しかし欠番があります。
59から100は存在しません。
戦後、国道をいちから制定しなおすに当たって、
基本的に県庁所在地同士を結ぶ、主要な国道を「一級国道」として一桁と二桁を付し、
それ以外には「二級国道」として三桁の数字を101から付けていった結果、
主要な国道は57でストップし、58から100の欠番が生じたわけです。
(ただしその後の法改正で現在は一級二級の区別は無い)


そして1972年、戦後27年間アメリカ領だった沖縄の返還で、
欠番だった58が出現しました。
占領下の沖縄の大動脈だった「ハイウェイNo.1」を、


県内だけを走る「三桁国道」でなく、
本土から繋がった「二桁国道」にしたい。


占領を味わった沖縄の人々のこの気持ちが、
地図で見ると若干無理矢理な感じも否めない、この最長の国道を生んだというわけです。


道は人の思いを受けとめます。
毎日走る国道。あの頃、毎日走った国道。
あなたがこよなく愛する国道は、何号ですか?


僕が今回の旅で最後に世話になるこの国道には、
上の経緯から、特に思いが強く籠もっていると勝手に思っています。
それは旅人のかりそめの感傷かもしれません、
しかし一方通行の愛も僕に限っては許されるはず、
だって鹿児島どころか、北海道から道を繋いできたんだから!



雨やどり

2009/01/30 [23:07]

スコールのような突然の雨に遭い、道沿いに見つけた物産店の軒先のテントに慌てて駆け込むと、奄美美人のお姉さんが「いらっしゃいませ(^O^)」とお店から明るい笑顔で出てきました。


(完全にものを買うつもりが無い客なのだが…)
と曖昧に笑う僕でしたが、次にお姉さんが発した言葉が、
「ぜんざい食べていきませんか?」
だったのには驚きました。


旅の話を聞いてもらいながら、
その日の朝、その物産店であった集会でふるまわれた、その残りだというぜんざいを、有難く頂きます。
茶請けのパパイヤの浅漬けがまた美味しい。
天気の悪い平日の昼間に、一人で店番していて要するにお姉さんは暇だったのだと思いますが、
田舎ならではとも言える、
こうして自然に発揮されるもてなしの心、本当に素敵です。
雨はすぐ止みましたが、道路が多少乾くまで、などと言って、しばらく休ませてもらいました。
お姉さん、ごちそうさまでした、ありがとうございました!


住用町では日本最大級のマングローブ林を一望して(写真)
心も軽く、ある坂道を登り切ると、
「へんなの〓!」
と後ろで幼い声がしました。
振り返るとキックボードに乗った5歳くらいの少年がこちらを見つめていたので、
「写真撮ってあげるからこっちおいで」と呼んでみれば、
地面をキックしてボードに乗ってシャーと追い付いてくる少年。
素直でいいなあ。。。


小さな友達と少し遊んで、
名刺しかあげるものがなかったのでそれをあげてから別れ、
また心を軽くして走ります。


相変わらず雨は降ったり止んだりを繰り返しており、頻繁に雨宿りをするので、距離がなかなか稼げません。
(彼に次に会えるのはいつだろうか…)
旅が終わろうとしている悲しさからか、
こうやってすぐさま襲ってくる感傷を、
まだ早いぞ、と、打ち消そうと努めていると、
…ん?また後ろで声がしました。


走る車の助手席からかわいい頭を出した少年の笑顔がそこにはあり、
袋いっぱいのたんかん(奄美のみかん)の贈り物を手渡してくれました。
「おとうさんのめいしもなかにはいってるから!またきてね、ぜったいだよ!」



景色に殴られる

2009/01/29 [13:38]

この見事な光芒!神さまがなかなか降りてこないのがむしろ不思議だ。。。


大島最北端の笠利崎手前の「用海岸」で砂浜キャンプをした翌朝、
沖に見える美しい隆起サンゴ礁の島、喜界島の島影のとなりに、
写真のとおり、わずかな雲間から海に落ちる光芒がありました。
前日から曇りが続き、ときに雨もぱらつく悪天候に半ばうんざりしていたのに、
これひとつでお釣りがたんまり、来ました。


目に飛び込んだ光景に息を呑むとき。
いい景色があると知っていてそれを見に行く場合とはまた違う、感動があります。
北海道の多和平で見た星空の衝撃…。
隠岐で見た、夜光虫の散らばる、その星空のごとく輝く浜辺…。
瞼の裏に焼き付いています。


  椰子の実の無名の旅に日は注ぐ気まぐれこそが愛しかろうと



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