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ゴールは近い

2008/09/27 [11:00]

小雨のなか、早朝、泊まっていたネットカフェを出て自転車のところにいくと、 自転車にビニール袋がかぶせてありました。


「掛けときましたよ(*^_^*)」
店員の女の子がそう言ってスマイル。
見るからにもう来ることがない客なのに、この思いやり、素敵です。
これぞ四国の心、でしょうか。
朝から、香川の塚田真希の笑顔に元気をもらって、
今日は幸先の良い動きだしでした。


八十一番白峯寺、八十二番根香寺は、最近むしろ好きになってきている山岳寺院。
八十番国分寺に自転車を停めておいて、歩いて登ります。
自然に抱かれた往復約6時間の山歩き、
嫌でも人生に前向きな思考ばかり浮かびました。


遍路は自分の足で回るに限る。
一度歩き遍路をやって、二度目クルマでやる人はまずいないと思います。
僕も、死ぬまでにもう一度やることがあるだろうか?とよく思いますが、
次は歩き遍路の可能性が高いですね。


さて来たるべきその日の脚力はいかに?


写真は国分寺の鐘。
奈良時代、聖武天皇の古より、深い音色を響かせつづけています。


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讃岐うどん

2008/09/25 [20:39]

うどんを食べつつ、今日は12の霊場を順拝しました。


過去最多です。弘法大師さま(=佐伯真魚=空海)はこの辺りの出身なので、
狭い地域に霊場が集中して多くあるわけですね。


六十七番大興寺は、静かな山際の村にある落ち着いた寺。
この山門の両側に、鎌倉時代からずっと立ち続け、
参道に睨みをきかせている仁王さんが立派です。(写真)


観音寺市の六十九番観音寺。
善通寺市の七十五番善通寺。
ここら有名寺院にはさすが、広い境内に人が沢山いました。
つまり東大寺や金閣寺が常に人で賑わっているように、です。
もちろん、参拝にお金は要りません。
いくらお賽銭を入れるか(入れないか)自分で決められます。
京都や奈良の寺の<拝観料>はどういう使われ方をしているのでしょうか…。


田園地帯にどんと建つ七十番本山寺は、
本堂が国宝で、五重の塔も大変美しい。
ベンチに座るとまた寝てしまいそうな、優しい音楽が聞こえました。


寺々には個性がたっぷりとあります。
それを感じるのがとても楽しいです。
1日に12ヶ所も回ると、どこがどんなだったか、既にあやふやであることを白状しますが、
しかし楽しかったです。



雲の中へ

2008/09/24 [23:15]

六十五番三角寺で愛媛県は終わり、次の六十六番雲辺寺は、香川・徳島の県境の峰の上に建つ。


三角寺も山の中にあり、結構時間を消費していて、
雲辺寺の麓の街、豊浜に着いたときには既に日が傾きだしていました。
標高900メートルを今から登るのは無茶かな?
と迷いながらも、とりあえず自転車で、前方にそびえる山並みに近づいていきます。
だんだん勾配がきつくなってきました。
八十八ヶ所の最高地だけあって雲辺寺にはロープウェイが引かれていて、
歩き遍路でない人は普通これを利用して行く。
当然僕としては、自分の足で行きたいが、日没が近い…。
結論を出せないまま、ロープウェイ乗り場に着いてしまい、
いざ着いてしまうと、人間の思考とは不思議なもので、
人波に流されて、迷わずキップ売り場に並んでしまいました。


待つこと5分、
(ん?)
遠くに、ちっちゃな看板が見えました。
<雲辺寺登山口こちら→(徒歩2時間)>
…徒歩2時間ということは往復3時間半…今3時半だから帰りは…7時!
無理だ。危険だ。やっぱロープウェイだ。
諦めて列に並ぶ。
あと3人…
あと2人…
あと1人…

いいのか?
いいのか!?しゃぶ!


自販機に駆け寄り急いでポカリを買い求め、
登山口に突進しました。


雲辺寺に通じる登山道には、いくつかルートがあるようで、
いわゆる、「へんろ道」、巡礼者が昔から使い続けている道は、
こことはどうやら別らしく、
ここは誰かが歩いた形跡が薄く、うっそうとしていて、
何より道をふさぐ蜘蛛の巣がスゴい。
マンガみたいな巨大蜘蛛がタコ糸で編んだみたいな蜘蛛の巣を張っていて、
それを破りながら進むのだが、
このペースじゃ日没がまじでやばいぞ!
ということで汗のうえに汗がまた吹き出ました。


吊りかけるふくらはぎを励まして、大師さまと二人、
苔が付いた石段を駆け、危なっかしい崖を這い、ぬかるんだ土を踏んで、登って登って登り倒す。
そうして午後五時、ようやく雲辺寺にたどり着きました。
海も街も、通ってきた道も、霞んでしまってよく見渡せない。
涼しい風が吹き抜ける雲辺寺は、
本当に雲の中にありました。


しかし呑気に感涙してはいられません。
すぐさま来た道を引き返します。
1時間半で登った道は1時間で下れるかと思いきや、
かなり急いで登って1時間半なので、
下りも1時間半かかりました。(下りは楽だけど、急ぎようがないのだ)
さっきまで人で溢れていた、がらんどうのロープウェイ乗り場の駐車場に困憊して帰ってきたとき、
ちょうど西の地平線に日が沈んでいくところでした。
街を見下ろし、若者がひとり吹くトランペットの音が
何かの始まりを告げるように、高らかに、響いていました。


  遍路旅険しさこそが愛おしい泥の眠りとこの高い空



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